CAREER MARK公式ブログ

駐妻キャリア支援CAREER MARKのブログです。 駐在妻・もと駐在妻の人材紹介を通して「また働きたい駐在妻」と 「もっと成長したい企業」をつなぎ、 ブランクがあってもまたチカラを発揮できる社会を目指しています。 駐在妻の再就職インタビューやキャリアセミナーレポートなどを掲載中!

世界を繋ぐ!キャリアコラボセミナー第2回 中国・上海「駐在妻の再就職のリアル 人事・転職エージェントの裏話」後編

「駐在妻の再就職のリアル 人事・転職エージェントの裏話」キャリアコラボセミナーレポート前編では「駐在妻は再就職に不利かどうか」「女性の再就職の最新動向」についてお届けしました。前編はこちらから。

今回は「駐在妻の再就職のリアル 人事・転職エージェントの裏話」後編です。
最後に、次回コラボセミナーのご案内も掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

 

 

3ヶ月後に本帰国!?今からやっておきたい準備について

やっておいた方がよい3つのこと

お二人から、本帰国が決まったらやっておいた方がよいことについて教えて頂きました。まだ本帰国が決まっていない方も今のうちから準備しておくとよいかもしれません。

  1. 自分のキャリアの棚卸し
    時間がある駐在帯同期間だからこそ、じっくりと自分のことを分析し、これまでやってきたことを整理して、丁寧にキャリアの棚卸しを行いましょう。そうすることで、新たな自分に気付くことができ、転職活動のプラスになることも多く、自信にも繋がります。また、早めの段階で行うことで、いざ転職活動をしようと思った時にすぐ活動できるメリットがあります。
  2. 職務経歴書の作成
    これは是非とも作成してください!駐在帯同期間中に過去の職務経歴について忘れてしまうこともあるので、特に初めて転職活動をされる方は時間がある時に書き始めた方がよいと思います。また、時間をかけて職務経歴書を更新していくことで質の高い職務経歴書に仕上がっていきます。
  3. 求人票のチェック
    “求人票を見る=マーケティング”です。業界や業種・職種ごとに求めている傾向が掴めるだけでなく、自分がどんなことをしたいか、したくないかという自己理解にもつながるメリットがあります。また求人票のチェックをする際、転職エージェントに登録をすることで、自分に合うエージェントを見つけやすくなるので、登録することもおすすめです。

エージェントの選び方、付き合い方

はじめて転職活動をする人には難しいと感じる転職エージェント選びについて、このようにアドバイスを頂きました。「エージェントにもママ向けに特化していたり、手広く求人を提供していたり、と強みがそれぞれにあります。自分に合ったエージェントとは自分がやりたいことにあった求人を提供してくれるエージェント。そのようなエージェントと出会うためにも、複数登録したほうが良いです。」

登録したエージェントによっては「転職は厳しい」と言われることもあるかもしれません。しかしそれはエージェントに登録している人が第2新卒や20代男性メインだからという可能性もあります。そのような時は「エージェントのターゲット層が違うだけ!私たちが持っている強みがマッチしていなかっただけ!」と前向きに捉えることも大事だそうです。

「コンサルタントの経験にも違いがあるし、一度や二度エージェントから『あなたは無理』と言われても落ち込まなくて大丈夫!」と小百合さんは力強くおっしゃってくださいました。これから本帰国して転職活動を始める予定の私たちとしてはとても心強い一言です。

林からは「CAREERMARKの提供する人材紹介は、駐在帯同経験があることを理解している会社からの求人なので、その時点で双方の最初の一条件はマッチしている」と紹介がありました。確かに、そういうエージェントだと前向きな気持ちで登録ができていいですね。

 

応募書類のブランクの書き方

自分で自分を“ブランク人材”だとアピールしないで

林は「帯同生活を自分でブランクにしないでほしい」と力強いアドバイスのあと、続けてこのようにコメントしました。
「多くの駐在妻があえて帯同期間中のことを何も書かないで、自分を“ブランク人材”だとアピールしていることがあります。これは非常にもったいない。“履歴書=資格”と思っている人も多いですが、資格だけじゃないです。ボランティアや語学学習、ブログを毎日書いた等、とにかく自分がやりたいと思ってやったことをぜひ書いてもらいたいです。それに知り合いもいない海外の新しい環境に飛び込んで、生活をゼロからスタートさせた経験はそれこそマネージメント力と情報収集力なくしてはできなかったわけですし、他の人が経験できないことを経験していると思います。そのようなことはぜひアピールして欲しいです。」

小百合さんからも同様に、「帯同期間中に何もしてないわけじゃないし、幼稚園の行事であるとか、セミナー受講であるとか、やりたいと思ったことをやったのであれば書いてよいと思います。また、異国で生活するというすごく大変な経験をし、変化対応力がついていると思うので、そういうのはアピールしたほうが良いです」と、アドバイスをいただきました。

 

受講者からの質問コーナー

セミナー中には受講者からいただいた質問にも答えて頂きました。

 

①再就職の際は年収が100万程度下がることを覚悟したほうがいいと転職エージェントに言われました。実際どうなんでしょうか。

小百合さん・林:年収が上がるところを目指すことも可能ですが、下がる可能性があることは覚悟しておいたほうがいいと思います。
誰も駐在妻を責めているわけではなく、ライバルと並べた時の条件で年収が決まってきてしまうというだけです。何を優先したいのかが大事なので、そのことを念頭に置いて転職の条件を考えていくべきなのかもしれません。

②自分の職務経歴書が魅力的なのかを確認できるいい方法はありますか。また質の高い職務経歴書とはどういうものなのでしょうか。

林:職務経歴書を見て「うちの会社で活躍してくれそう」と人事側が思えたらそれは質の高い職務経歴書と言えますね。”いま企業側が求めているスキルがこの人にあるのか”、という点を人事は見るので、求人票を見て企業はどのような人材が欲しいのかを見定め、職務経歴書を書いていくことをおすすめします。

小百合さん:女性は自分のことを過小評価してしまいがちです。職務経歴書は自分の中で200%ぐらいで書いていいと思いますよ。それで世の中の評価トントンぐらいですから!

③本帰国して休職していた会社に復職予定。転職も視野に入れているのですが、再就職後の働き方で気を付けたほうが良いことはなんでしょうか。

林:日本で復職したうえで、“ここで働きたい”と思うかもしれないですし、“他のことがしたい”と決心がつくかもしれません。“仕事ってなに?日本の企業で働くってどんな感じだっけ?”と体験してみてから、自分はどうしたいんだろうと考える期間にしても良いかと思います。

小百合さん:もし転職を考えるのであれば、“何を実現するための転職にしたいのか”を意識した方がいいですね。いろいろな選択肢があるからこそしっかりと考えていくことが大事。日本での仕事に復帰後はしばらく浦島太郎みたいな状態になると思うので、慣らし期間と思って、アクセルを踏みすぎないことも大事ですよ!

 

④今後帰国したとしても、夫が再駐在の可能性があります。面接時に会社に言うべきでしょうか。

小百合さん・林:もし可能性がかなり高いのであれば、聞かれた際に正直にその旨を答えればいいでしょう。自分がその時に帯同するつもりかどうかが重要なので、そこは一度考えてみてくださいね。帯同するつもりがなければ、会社にあえて言う必要もないですから。

あとがき

駐在妻にとって必ず訪れる本帰国。転職を考えている方にとって、人事と転職エージェント、両方の視点からのリアルな話は、とても参考になったのではないでしょうか。「駐在妻だから転職が厳しい」のではなく、自分に合ったターゲットを選べば女性にとって今や追い風の転職市場。納得がいく結果を出すために、時間がある帯同期間中にしっかりと自分のキャリアの棚卸しをしつつ、やりたいことをやって、自分で自分の帯同期間をブランクとせずに、前向きに過ごしていきたいですね。

お知らせ

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セミナーを通じて感じたこと・考えたことや、セミナー内で答えられなかった質問にお答えしています。CAREER MARKのInstagramで視聴できますので、セミナーに参加されなかった方もぜひご覧ください。
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⌘第2回コラボセミナーレポート前編はこちら

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⌘次回イベントは1月開催予定!

「職務経歴書を作るうえでのFirstStep・ポータブルスキルの棚卸しセミナー(仮)」を2023年1月に予定しております。皆さんのキャリアの棚卸しに役立つ内容です。是非ご参加ください。詳細が決まりましたらご案内いたしますのでメールマガジンへの登録 、およびInstagram/Facebook のフォローをお願いいたします。



文・CAREER MARK インターン6期 杉野理央/小塩奈緒

 

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世界を繋ぐ!キャリアコラボセミナー第2回 中国・上海「駐在妻の再就職のリアル 人事・転職エージェントの裏話」前編

2022年10月25日、「駐在妻の再就職のリアル 人事・転職エージェントの裏話」と題し、世界を繋ぐ!キャリアコラボセミナー第2回が開催されました。

今回、CAREER MARKキャリアコンサルタント林とともにお話いただいたのは、中国・上海在住のキャリアコンサルタント関小百合さんです。お二人が出会ったきっかけはCAREER MARKのイベント。当時上海駐在帯同が決定した小百合さんが参加してくださったことがきっかけで、今回のセミナー開催に繋がりました。

 

今回のセミナーのテーマは「駐在妻の再就職」。人事と転職エージェントの目線・キャリアコンサルタントの目線・駐在妻の目線からお話し頂きました。

「大丈夫」という楽観的なスタンスだけではなく、現実を見据えた上でどうしたらいいのか考えることを大切にしている点が似ているというお二人が、駐在妻の気持ちを理解しているからこそ、伝えたいリアルな現状を熱く語ってくださいました。

 

セミナーは、世界各国から90名近くの方々にご参加いただきました。多くの方に興味を持っていただいた今回のセミナーの開催レポートを2回に分けてお届けいたします。

 

 

【登壇者】

関小百合さん

国家資格キャリアコンサルタント/育休後アドバイザー

リクルートキャリアコンサルティングで法人営業を経験。社内表彰では年間MVP3回他27回以上受賞。また社内でワーキングママ初の年間優秀賞を受賞。その後、2021年フリーランスとしてキャリアコンサルタント&法人研修講師として独立。ワーキングマザー向けキャリア講座“キャリア戦略カレッジ”共同代表。2022年4月より中国・上海に駐在帯同し、現在は“キャリアカフェ上海”のスタッフとしての活動やボランティアイベントの開催を行っている。

 

 

林眞帆

CAREER MARK キャリアコンサルタント

IT企業にて10年以上、採用・人材開発に携わる。2015年、夫のイギリス赴任に帯同するため退職。イギリスではキャリアワークショップを多数開催し、キャリアカウンセリングやコーチングを通して女性のキャリア支援を行う。イギリス帯同中にCAREER MARK参画。2019年に本帰国、再び企業にて採用や人材開発に携わり、管理職も経験。その後再び40代での転職活動を経て、現在は新たなフィールドで採用や人材開発に携わりながら、CAREER MARKでのキャリア支援を行う。

 

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※CAREER MARKについてはこちら

 

駐在妻は再就職に不利かどうか

“駐在妻だから不利”ということはない

再就職支援の際によく聞かれる「駐在妻って再就職に不利ですか?」という質問に対して、小百合さん・林ともに「一概に不利とは言えない」と口を揃えます。

そもそも“駐在妻”というカテゴリー自体、転職市場には存在しないそうです。「駐在帯同されている方が自ら“駐在妻”というカテゴリーを作り、駐在妻だから自分はだめと判断してしまっていることがもったいないし、それ自体が不利なわけではないから意識し過ぎない方がいい」とのアドバイスに参加者の表情も少し明るくなったように感じました。

 

大事なのはどんな働き方を本当にしたいのか

ただ、不利な転職市場が明確にあることも事実。

林からは「転職活動は戦いのようなもので、1つのポジションをみんなで争います。例えば日系大手企業だと、元駐在員や20代の男性がライバルになる場合も。その時にライバルの条件が“転勤OK、海外駐在OK、残業OK”だと、もと駐在妻の女性が採用されるのが難しい場合も多いのは事実です」と転職事情の厳しい現実が語られます。

 

ここで大事なのは“自分がどのような働き方を本当にしたいのか”と立ち止まって考えてみること。

「前職と同じ年収、もしくはそれ以上のところで働きたいのか、ワークライフバランスを重視したいのか。バランスはライフステージによって変わってきます。優先順位についてまずは考えてみてほしいです。

小百合さんのメッセージが胸に刺さります。

 

女性の再就職の最新動向

女性の転職市場は追い風

「転職市場の風向きは全体的に良くなってきている」とお二人はお話しくださいました。最近ではリモートワークが進んだことによって、上手に時間を使い仕事することが可能になってきています。また「女性活躍」や「女性の管理職」という言葉もよく耳にします。全てが重なって女性の転職市場は追い風だそうです。

 

35歳の壁

また、お二人が同意していたのが転職市場における“35歳の壁”がここ数年でなくなったということ。

林は「3年前に帰国した時と今とでは転職市場が全然違うと感じる」と話してくださいました。小百合さんも、50代・60代の転職支援をした経験があり、実際に転職されていく人々をみて、同様のことを感じたとおっしゃっています。「職務経歴書をちゃんと書き込むことで年齢に関わらず転職はできるのだ」と力強くお答えくださいました。

 

そもそも“35歳の壁”とは、企業側がその壁を取り払えていないから存在する言葉で、ただその壁を乗り越えるだけのスキルがあり、それを伝えることができれば乗り越えることができるそうです。しかしそれと同時に、「“35歳”という年齢に拘っている会社でそもそも働きたいのか、を考えてみてほしい」とのお話もいただきました。確かに、働き始めた後に自分が辛いと思うような環境にならないかをしっかり見極めることも大事だと感じました。

 

役に立つスキルとは?

スキルでいうと「女性の管理職」を探している企業ではマネジメントスキルを持っている女性を積極的に求めている傾向にあります。ですので「マネジメント、または実際に管理職でなくともプロジェクトリーダーや主任など、何かしら経験されたことがある方はぜひ職務経歴書に書いてください」とのことでした。

 

それ以外にも帯同中にプロボノやボランティア等をされている方がいらっしゃったらその経験も積極的に職務経歴書に書いていくべきだそうです。「自分で『これは役に立たないから』『私事なので』と言って書かないことが1番もったいない」との言葉がとても印象的でした。

 

いま働き方や労働市場は大きく変わってきています。自分がどこまで拘って優先順位を精査して会社を選んでいくかで転職活動の幅も広がってきます。今回のお話をもとに自分にとっての優先順位について考え直し、転職活動に活かしていきたいと思いました。

 

 

以上、「駐在妻の再就職リアル 人事・転職エージェントの裏話」キャリアコラボセミナーレポート前編をお届けしました。働きたい駐在妻にとって気になるテーマ「本帰国後の再就職」について、とても貴重なリアル話が満載だったかと思います。

次回後編は「3ヶ月後に本帰国!?今からやっておきたい準備について」「応募書類のブランクの書き方」についてレポートさせていただきます!

 

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文・CAREER MARK インターン6期 杉野理央/小塩奈緒

 

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私の人生は私のもの

もと駐在妻の再就職リアルストーリーVol.6

パートナーの海外駐在によって仕事をやめて日本を離れた女性たち。「駐在妻」と呼ばれる彼女たちのなかには、帰国後にまた仕事に戻る方もたくさんいます。自分が本当にやりたい仕事は何か、そして、それを叶える働き方とは。

帯同中にご自身を見つめ直し、第二のキャリアを切り開いたもと駐在妻のリアルストーリーをご紹介します。

Sさんプロフィール

2010年 日系大手製薬会社にてMRとして勤務

2019年~2021年 休職し、シンガポール駐在帯同

その間、駐妻カフェでボランティア活動

2020年 帯同中に希望退職者募集に応募し、退職

2022年 株式会社WOMAN COLLEGEで勤務開始(業務委託契約)

現在、東北地方からフルリモートで週2~3日、1日4時間程度勤務

 

私の人生は私のもの

——Sさんは現在、東京の会社でフルリモート勤務をされていますね。お仕事はいかがですか?

 

Sさん(以下、敬称略):とても面白いです!ダイバーシティや女性活躍という観点から企業にコンサルティングをする会社なのですが、他社の社長様や女性で起業された方など、様々な方とお会いできる機会もあって、刺激的です。勤務先の女性社長もすてきな方で尊敬しています。

 

——楽しくお仕事に取り組まれている様子が伝わってきます。駐在帯同前は大手製薬会社で長くMRのお仕事をされていらっしゃいましたが、以前と全く異なる今のお仕事を選んだ理由は何ですか?

 

S:以前の会社を退職した際、せっかく苦労して入った会社を辞めるのだから、次は自分が思うような働き方で、やりたいことをしたいと思いました。

少しでもお給料が高いとか、大企業であるなどの条件面で選ぶのではなく、ここなら自分が成長できるという場所で働きたいと考えていました。

 

——事前のアンケートの「再就職できた理由は何だと思いますか?」という質問に対しても、「自分がここで認められたいと思うところに身を置く」と答えてくださいましたね。この言葉に感銘を受けました。特に駐在帯同後だと、自分のスキルに不安を感じてしまって、「行きたい会社を探す」よりも「入れてくれる会社を探す」という気持ちになってしまいがちです。でもSさんの場合は、自分の軸を持ってより主体的に仕事を探されていた印象です。

 

S:何でも自分で決めるということは、大事ですよね。そうじゃないと、納得感がないと思うのです。自分で決めたからにはと、踏ん張る原動力にもなります

 

——帯同とはいえ、自分の人生だから自分で決めて行動していく、というのが満足度を上げていくポイントかもしれないですね。

 

S:本当にそうだと思います。私、実は宝塚歌劇がものすごく好きなのですが、ある演目のなかで「私の人生は私のもの」というセリフがあって、昔からとても好きなんです!!自分で自分の人生の舵を取らないと!と思っています。 

ナショナルデー準備中のセントーサ島のビーチ

「ボランティア活動は職務経歴ではない」と書類から消されて

——再就職の準備で一番大変だったことは何ですか?

 

S:書類(履歴書・職務経歴書)の準備が大変でした。

初めての転職活動だったので、書類を書いたことがなくて。職務経歴書って何?!というレベルでした。

 

——とてもうまくPRできている職務経歴書でしたよ!特に、ボランティア活動についての書き方がすばらしかったです。

 

S:ありがとうございます。でも、以前、別の人材エージェントで再就職サポートを受けた際、「ボランティアの部分は、職務ではないのでいりません。消しておきました。」と言われて、大ショックだったことがあります。

逆に、私のこれまでのボランティア活動が評価されるような企業に応募したいと強く思いました。

 

——「駐在帯同中の活動も含めて自分を認めてくれる企業で働きたい」と思ったのですね。そこがSさんの強さ、しなやかさだと感じます。

 

S:もし、一人で孤独に再就職活動をしていたら、単純にボランティアの部分は消すものだと思っていたかもしれません。ボランティア活動の仲間と、活動についての記載を消すことへの違和感を共有できたから、自信を持って自分の経験を職務経歴書へ書くことができたのだと思います。自分の価値観を共有できる場所を持っておくのは大事だと思います。

以前と同じ業界で同じような仕事をするなら、ボランティア活動の記載はなくてもよかったと思います。

でも私の場合は、駐在帯同を通じて仕事に対する考えも変わっていました。子どもとの時間をしっかりとることのできるよう、時間をうまく使って働きたいというのが第一にありました。その上で、自分の興味が向き、成長できるところがあればという感じでした。

 

——はじめから今のようなお仕事を希望されていましたか?


S:どんな働き方をしたいかは明確にありましたが、どんな仕事がいいのか、どんな会社がいいのか、最初はまったくわかりませんでした。

CAREER MARKに会員登録したあと、キャリアコンサルタントと面談しましょうとご連絡いただいて、小橋さんと面談しました。そのとき、「やりたい仕事は何ですか?」「これから活かしたいスキルは?」と色々な質問をいただくうちに、「働く女性を支援する仕事があるなら、そういうことをしてみたい」と気付いたんです。自分について紐解いて話していく中で、方向性を定めることができました。

——よく覚えています。MRをずっとされていたので理系や営業の仕事の提案をしたのですが反応が良くなくて。思い切って、これまでのご経験や考えから「女性を支援する仕事などは?」と話すとSさんの目が輝いてらっしゃったので、ああ、今度はこういう仕事でご自分の力を発揮されたいんだなと感じました。ちょうどWOMAN COLLEGE様からの求人があったので、これはSさんにピッタリだ!とすぐに紹介したんです。

S:就職は、本当にマッチングだと思いました。10社受けて10社から内定をいただけるわけではないですし。自分に合うところ、お互いがいいなと思ったところで働くのが一番良いと思いました。

シンガポールと言えば!の風景。水陸両用観光バス「ダックツアー」からの眺め

駐在帯同中は「戦略的ボランティア」

——ご退職のきっかけは何ですか?

 

S:退職したのは帯同中です。育児休暇中に夫のシンガポール駐在が決まり、当初は休職制度を利用して帯同しました。実は、その時点で退職するかどうか、少し迷ったんです。でも、新卒からずっといる会社で、一度正社員という路線から外れると戻れないのではないかという恐怖があり、退職する勇気は出なくて。ところが、たまたま帯同中に大規模希望退職の募集がかかりました。未来を応援するような、前向きな会社の雰囲気にも後押しされ、そのタイミングで退職しました。

 

——「一度路線から外れると戻れなくなるのでは」という恐怖は、多くの方が感じると思います。仕事をしていると帯同すること自体を迷う方も多いと思いますが、Sさんはいかがでしたか?迷いや不安はありましたか?

 

S:帯同するかどうか、私は全く迷いませんでした。むしろ「海外に住めるチャンスがあるの?やったー!」という感じで。夫は家族に相談してから会社に返事をするつもりだったようですが、「どうしてその場で行くって言ってこなかったの?!」と!(笑)

帯同を迷わなかった理由として、育児休業中だったということもあると思います。「ぜひ行かせてください!」という感じで、迷いはありませんでした。

 

——帯同時に休職を選んだことについて、どんなことがよかったと感じますか?

 

S:休職をメリットと捉えるかどうかは人それぞれだと思うのですが、「せっかくの帯同期間を何もせず過ごしてはいけない、何か成長して帰らないと」というマインドでいられたのはよかったかもしれません。職場復帰した際に、「わたしのシンガポール生活」をプレゼンするイメージが湧いていました。若干のプレッシャーも感じつつ、モチベーションの維持に繋がったことは、よかったです。

 

——なるほど。たしかに、Sさんは帯同中に英語学習やボランティア活動など、精力的に活動なさっていましたね。英語学習では、TOEIC受験に加えて、TESOL()にも挑戦されたのですね。

 

S英語圏へ行くのであれば、TOEICスコアをアップさせて帰りたいという思いは、帯同前から持っていました。

当時は英語の先生になることも視野に入れていたので、TESOLもがんばってみることにしたのです。とにかく目に見える資格を取って帰りたい、次のキャリアに繋がる資格を取りたい、と考えていました。

現在のところ、TESOLを直接仕事に活かしてはいません。でも、何より、自信になりました!

英語でエッセイを何本も書いたり、模擬授業したり。しっかり努力すれば目に見える形で結果がついてくる、やればできるということを自分でも感じ、証明できたので、挑戦してよかったと感じています。一緒に学んでいた仲間や先生と交流できたことも、本当によかったと思います。

 

——資格が自信に繋がるのはすばらしいですね。ボランティア活動にも積極的だったと伺いました。

 

S:「駐妻カフェ」という団体で、ボランティア活動をしていました。

 帯同前から情報収集として駐妻カフェのキャリア体験記事を読んでいました。シンガポールへ引っ越してから2ヶ月後にボランティアの募集をしていて、ちょうど良いタイミングだったので応募しました。私にできることあるのかなとちょっと迷いましたが、思い切って応募しました!

 

——前向きに応募したところが素敵です。実際に活動してみて、いかがでしたか?

 

S:私の駐在生活はこのボランティア活動と共にあると言っても過言ではないほど、打ち込めました。チームで何かを成し遂げることが本当に楽しかったし、やってよかったと思います。

 

——そのときに培ったスキルや力で、今役立っているものや、自分を支えてくれているものはありますか?

 

S:ボランティアの活動は、どのくらいの熱量で、どれくらい関わることができるか、人それぞれ状況によって異なります。でも、成し遂げたいものがある。仲間たちの状況を感じとって、うまくみんなが活動できるように、でも最終的にはやりたいことが達成できるようにしたいですよね。活動していく中で、想像力やチームワークのためのコミュニケーションスキルが鍛えられました。

リモートで活動することによってITスキルも身につき、よかったと思います。会社員のままだったら使わなかったであろうITツールも、ボランテイア活動を通して学び、使えるようになりました。

 

——今、そのITツールを使ってお仕事されていますよね!

 

S:はい!駐妻カフェのボランティアは、フルリモート前提なんです。世界中の、会ったことがない方々と活動し、フルリモートでも信頼関係が構築できるんだ!とわかったので、フルリモートの仕事に対するハードルは感じませんでした。

 

——とても前向きに活動されていた様子が伝わってきます。帯同中に、私のキャリアはマイナスになる、キャリアが終わる、というような不安はお持ちではなかったのでしょうか?

 

S:帯同中のボランティアは、空白期間ではなく、未来へ繋げることを意識して戦略的にやるイメージでした。「戦略的ボランティア」という言葉がありますよね。そのイメージで取り組みました。

空白だなんてとんでもないです!ボランティアでも、これを一生懸命やっていました!こんなスキルを身に着けました!と言えればいいと思います。

未経験の仕事でも採用された理由

——渡航前も帯同中も前向きに過ごされていますね!落ち込んだりしたことはないんですか?

 

S:回復は早い方だと思います会社員時代は、失敗したと思っても2時間くらいで立ち直る!いうのが売りでした!(笑)

 

——なるほど、お話していると、ポジティブシンキングとレジリエンスを併せ持つSさんの自信が清々しいです!

 

S大切なのはポジティブシンキングと自信だと思っています。特に、再就職でキャリアチェンジする場合、経験を売りにすることはできないので、学ぶ姿勢があるかどうかをわかってもらうことが大事だと思います。自信がある人の伝え方って、面接などでも滲み出ると思うんです。駐在妻のみなさんは本当に素晴らしい人財ばかりなので、しっかりとアピールできたら強いと思います。

 

——自信が大事だと感じた具体的なエピソードはありますか?

 

S:ボランティア活動の中で、駐在妻のみなさんのキャリアや再就職に関わるさまざまなお話を伺う機会がありました。そこで、みなさんすごいスキルがあるのに自信がなくてもったいないという話をよく耳にしました。他の人にはないスキルを持っているのに、それが普通だと思っていらっしゃる

また、多くの方と出会い世界が広がったことで、その人の自信って、話し方でなんとなく伝わるな、自信を持っている方は魅力的だな、と感じました。

 

——おっしゃる通りです。キャリアコンサルティングを行う私たちにとっても、「自信」はキーワードですね。Sさんから駐在妻のみなさんへお伝えしたいことはありますか?

 

S:キャリアの体験談ってたくさんあって、読むと落ち込んでしまう場合もあると思います。私自身もそうでした。帰国前から保育園も再就職先も決めたという人の話を聞いて、焦ったこともあります。

がんばって本帰国の半年前から情報収集やエージェント登録してみたのですが、実際にはタイミングが合っていなくて・・・早過ぎちゃったんです。今すぐ働けますというタイミングではなかったので、エージェントからは、またそのときにお願いします言われてしまいました。タイミングって大事ですよね。

帰国して、生活が落ち着いてから再就職活動をスタートさせても良いんだな、という気持ちに切り替えました。帰国したらすぐ働きたい、働かなきゃという気持ちもあったけれど、ここで焦ってはいけない、焦らないように、と自分に言い聞かせていました。

今は、それぞれが自分のペースで、自分の道を見つけていったら良いのでは、と思います。自分の場所は、必ずあるはずです!

 

——ペースもご自身でコントロールしながら、主体的に取り組まれたのですね。Sさんの「私の人生は私のもの」という思いが光りますね!

Sさん、どうもありがとうございました。

 

TESOL

Teaching English to Speakers of Other Languagesの略で、英語を母語としない方に向けての英語教授法のこと。

 

* * *

スペシャルインタビュー:代表取締役 黒田様に聞きました!

今回、勤務先の株式会社WOMAN COLLEGE 代表取締役 黒田佳奈子様にもインタビューをさせていただきました!

——Sさんのどのような点に魅力を感じて採用されましたか?駐在帯同中に仕事をしていなかったことで、「仕事のカンが鈍っているのでは?」「スキルが期待できないのでは?」というような不安はありませんでしたか?

 

——黒田様:ブランクはまったく気になりませんでした。
逆に海外でのご経験はきっと想定外のこともたくさんあって、会社員生活の中でできる経験とはまた違うと思いますし、プラスに感じました。ビジネスパーソンとしても大切な、胆力とかレジリエンスのようなものは、会社勤めを通じてのみ養われるものでもないかなと思っています。
駐在帯同期間中に、会社勤めのときにもなかったような力を発揮された方も多いのではないでしょうか?
私はむしろ会社を辞めた後のことを知りたいと思う方です。職務経歴書を読めば会社員時代のご経験や成果はだいたい想像ができますが、勤めていない期間というのは、誰かが役割を指示してくれるわけではありませんので、その中でどのようなことに関心をもち行動をし、何を感じたのか、教えていただきたいです。そちらに興味がありますね。
良い仲間が欲しいと心から考える経営者ならば、採用を杓子定規に捉えず、きっと同じように思うのではないでしょうか。 
Sさんとの出会いですが、まずは履歴書のお写真が満面の笑顔で、それが好印象でした。履歴書用に撮られたものではないのかな?と思いましたが、私自身も笑顔を大切にしていますので、そこに自然体な魅力を感じましたね(笑)
学歴などもちろん素晴らしかったのですが、職務経歴書から、目の前の仕事にしっかり向き合って成果を出す粘り強さ、誠実で手を抜かない真摯な姿勢を感じました。退職後も何か社会に貢献できることを見つけて行動を起こし続けていることは大変魅力的でした。お話しする中で、当社の即戦力として相応しいかという点よりも、きっとSさんなら足りないスキルもこれから前向きに身につけてくれるだろうという期待や信用を持ちました。

 

——Sさんのお仕事のどのような点を評価されていますか?

 

——黒田様:まず、新しいチャレンジを楽しんでくれるところです。依頼したとき、一言目に「がんばってみます!」と元気に言ってくれるので、仕事を任せるにあたって安心します。
フルリモート勤務なのでこちらからも「無理していませんか?」と声をかけるようにはしているのですが、Sさんからもきちんと気持ちを伝えてくれるのです。そのため安心して一緒に働くことができています。
長くご一緒したいからこそ、ただタスクをお願いするだけでなく、その背景にある私自身の考えを伝え、ときには悩みや愚痴なども聞いてもらっていますが(笑)、Sさんも私に本音を話せるようになってくれていればいいなと願います。

また、先日新しい仕事をお願いしたところ、すぐに「この本を買いました!」と関連書籍で勉強を始めてくれたのを聞き、とても嬉しかったです。入社時からスキルがあるに越したことはないのですが、それよりも、未知の領域も自ら学び、会社と一緒に成長していけることが大事です。
そうした姿勢を見ると、今できないことでもきっとできるようになるはず、と感じます。

日々の業務も手を抜くことなく、しっかり対応してくれています。
なによりご自身が納得するアウトプットを出してくれています。プロ意識が高いですね。

 

 

黒田様、インタビューありがとうございました。

駐在帯同をブランクではなく「会社勤めではできない経験をした期間」と捉え、Sさんがこれまで身につけてきた仕事への取り組み方を理解してくださる黒田様との出会いは、Sさんの人生にとってきっと大きなギフトだったことでしょう。

「スキルがあるに越したことはないけれど、それよりも社会人として自ら学び、会社と一緒に成長していけることが大事」

という黒田様のメッセージにはとても励まされますね!

 

【企業紹介】
株式会社WOMAN COLLEGE(ウーマンカレッジ)
~「真の女性活躍をウーマンカレッジとともに」~
女性の採用強化、女性リーダーの育成など、法人向けに女性活躍推進支援を行っています。100社以上の支援、10年に渡る活動実績を活かして、2022年8月には社外取締役コミュニティを発足させるなど、女性リーダー自身が繋がり学べる機会の提供もスタート。
日本において女性活躍が当たり前になるようにサービスを広げています。

 

* * *

文:CAREER MARKインターン5期 島貫さやか

インタビュー・文責:CAREER MARK 小橋友美

 

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世界を繋ぐ!キャリアコラボセミナー第1回 タイ・バンコク「本帰国後の自分のために、駐在帯同中のいま わたしができること」

2022年7月22日、「本帰国後の自分のために、駐在帯同中のいま わたしができること」と題し、世界を繋ぐ!キャリアコラボセミナー第1回が開催されました。

今回、CAREER MARK共同代表 鎌田とともにキャリアについてお話いただいたのは、タイ・バンコク在住の礒田あいさん 。自身も駐在帯同中でありながら、駐在妻向けにキャリアデザインワークショップを多数開催されています。

 

セミナー当日はタイ・バンコクを中心として、世界各国から30名を超える方にご参加いただきました。それだけテーマへの関心の高さが伺える今回のセミナーについて、レポートをお届けします。

 

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【登壇者】

礒田あいさん

海外女性のためのキャリアデザイン主宰

2019年よりバンコク在住。大手通信会社を退職し駐在帯同したが、来タイ当初アイデンティティ・クライシスによりキャリア迷子に。ご自身の経験をもとに「どこにいても 自分らしいライフキャリアを描き、幸せを感じて生きる女性が増えること」を願い、2021年6月より「海外女性のためのキャリアデザイン」を主宰。駐在妻ならではの環境を理解し寄り添い、100名以上のキャリア支援に携わる。

 

鎌田薫

CAREER MARK共同代表

大学卒業後、金融業界、リクルートを経てハリウッドビューティサロン支配人に。企画営業、事業企画、経営企画などに従事。育児休業復帰直前に夫の駐在が決まり1年8ヶ月ロンドンヘ。帯同中に在英日本人女性のコミュニティを立ち上げ、本帰国後これからのキャリアを見据え、コーチング資格を取得。WEBメディア「LAXIC 」編集長在任中にCAREER MARKの前身となる、駐妻キャリア支援プロジェクトを立ち上げる。

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※CAREER MARKについてはこちら

 

帯同中のアイデンティティ・クライシスを経験した2人を繋いだご縁

セミナーはCAREER MARKコミュニティマネージャー 筧中の司会進行により、和やかに始まりました。登壇者の自己紹介では、2人とも仕事を離れ帯同した際、キャリアについて悩んだ経験があったことに触れました。その経験がもとになって今の活動に繋がっているとのこと、詳しく聞きたい部分です。

 

また今回のセミナーは、2人の共通の知人であるカリフォルニア在住ライフキャリアコーチ 吉川ゆりさん が繋いでくださって実現したそうです。2人それぞれが吉川さんのポッドキャスト に出演したのがきっかけとのこと。アメリカと日本(もとロンドン)、タイが繋がって企画ができるとは、今後の広がりを想像するとわくわくしてきました。

 

不安を原動力に行動するも停滞感に焦っていた

まずはあいさんより自身の帯同生活で考えたことや行動したこと、またそこから得た学びを共有いただきました。

2019年の帯同開始時、退職して「●●会社の礒田さん」から「xxちゃんのママ」「礒田さんの奥さん」という肩書で呼ばれることが増え、「何者でもなくなったような気持ちでした」とアイデンティティ・クライシスに陥っていたあいさん。その後1年半ほど、仕事の代わりにボランティアや語学学校、友達に会うなど日々のスケジュールを埋めていましたが、「他人から見ると充実しているように見えるけど、自分としては進んでいる気がしなくて停滞感を感じていた」とのこと。その気持ちがよく理解できる駐在妻の方も多いのではないでしょうか。

 

新しい出会いから自分の「やりたい」に気づけた

転機はコロナ禍に訪れます。バンコクもロックダウンとなった際に、オンラインで日本のコミュニティのお手伝いを始め、そこで知り合った起業家の方々に当時のモヤモヤを相談。「それは辛いね」と共感いただいたものの、「あなたのビジョンは何?」と聞かれたら

自分のことなのに答えられない!」と認識し、ショックだったそうです。その後、会社員時代に新卒採用に関わっていた経験から、コミュニティ運営のサポートをしてくれる大学生の就職活動を支援することに。エントリーシート作成や面接練習のフィードバックを通じて彼女の目が輝いたことで、「私はこういうことがしたかったのかも」と気づいたとお話くださいました。また自分のことを語れない危機感から、コーチングを学び始め自己理解を深めていきます。

就職活動支援について発信してみたところ、他の大学生も連絡をくれるようになりましたが、どうしても目先の面接に向けた対策になりがちでした。感染状況も落ち着いてきた中であいさんが考えたのは「もっと根本的に人に関わりたい」ということ。そこから主にバンコク在住の駐在妻に向けて、キャリアワークショップを開催するようになったそうです。

 

帯同中をどうすごすか~あいさんからのメッセージ~

振り返ると、帯同生活前半の行動は「不安」が原動力だったものの、後半になるにつれて自分の「やりたい」が原動力になっていったとのこと。「苦しい前半があったから今があるけれど、セミナー参加者の方にはぜひショートカットしてほしい」とあいさんから優しいメッセージも。

さらに、ワークショップ受講者の例についても取り上げられました。帯同期間を充実したものに変えていける方々の共通点は、「理想の未来に向けて自発的に進んでいる」「ねば・べき・常識からの脱出」とのこと。特に帯同・コロナ禍など自分ではコントロールできない状況に向き合ったことで、「先読みできない時代だからこそ、行動を積み上げていくことが大事」だと実感したそうです。

 

最後に「帯同中はありたい姿を考えて、いまできることで行動していってほしい」と語るあいさん。ご自身が沢山モヤモヤして、沢山考え、沢山行動したからこそ辿り着いたというエピソードには終始熱がこもり、聞いていて非常に励まされる気持ちになりました。「誰かに会う、何かを話すというのも行動の1つですよね」と筧中からのコメントもあり、「自分にも何かできるかもしれない」という気持ちが強くなったと思います。

 

 

小さな一歩が大きな気づきをくれた帯同期間

次に鎌田より、自身のロンドンでの帯同経験について、また人材紹介業に携わる視点から「帯同中にやっておくべきこと」をお伝えしました。

 

鎌田も渡英当初は新鮮さから日々楽しく過ごしていましたが、3ヶ月ほど経つと家族との関わりしかない「今の私にはバリューが無い」と、アイデンティティ・クライシスに陥ります。それまで仕事をしてきた万能感のある自分とのギャップが大きかったそうです。

はじめの一歩のきっかけは、日本のママコミュニティ Himemamaを海外進出させてみないかと、代表からお声がけいただいたこと。自信を失っていた鎌田は断ろうとしたそうですが、「大きなことはしなくていいから、お茶会でいいんだよ」との言葉に励まされ、Himemama Londonを立ち上げました。その際に大事にしたのは「母でもない、妻でもない、わたしが主役の場を作ろう」ということ。コミュニティで自分たちのことを話すうちに、各メンバーのスキルがコミュニティ運営にも活かされていきました。力のある駐在妻が集まる中で、「みんな意外と自分の強みに気づいていない。もったいない!」という気持ちが大きくなったそうです。

 

自身の経験からCAREER MARK立ち上げへ

また「この機会に興味があることを学んでみよう」と、オンラインでコーチングの資格を取得。自分の好きなことをよく考えたら、「人の支援が好き」ということに気づきました。それが帰国後のCAREER MARK立ち上げや、現在もMentor Forでメンターとして働くことに繋がっているとのこと。

 

その後、CAREER MARKを運営する中で「異文化適応過程」について聞く機会があり、「帯同後に落ち込むのは皆さんが通る道なんだ」と知ったそうです。「もし落ち込むのが普通なんだって知っていたら、少し気持ちが軽くなりませんか?」CAREER MARKは、こういった駐在妻の皆さんに知って欲しい情報も発信しています。(公式ブログ記事:駐在妻のもやもや、どうしたらいいですか?臨床心理士の先生に聞きました 

帯同中にやるべきこと~鎌田の視点から~

①キャリアの棚卸しをし、職務経歴書を書いておく

本帰国後は引越しで忙しく、気づけば数ヶ月経っていることも多いので、帯同中からぜひ準備してほしいとのこと。その際はライフラインチャートの作成や、クリフトンストレングス診断の活用、またあいさんが主宰するようなワークショップに参加するのも良いそうです。客観的に見ることで「自分の中の当たり前がそうじゃない!」と気づくことができます。

②所属が無い今だからこそ、やってみたいことにチャレンジをしてみる

好きなことを軸に行動してみたり、現地ボランティアや学校活動への積極的な参加など、帯同生活の充実が意外とその後のキャリアに活きていくとのこと。

③ビジネススキルを活かせる場に身を置く

フルリモートのプロボノやインターン、ビザと環境が許す場合は現地での就労(パート・正社員)など、帯同中でも機会はあるものです。しばらく眠っていたビジネス脳を使えること、また様々なバックグラウンドの方と仕事をすることで、自分の強みに気づくことができます。

 

さらに帯同中の小さな一歩を帰国後のキャリアに繋げていった例もご紹介。CAREER MARKの部活動立ち上げから、専業主婦として初のLinkedInクリエイターになった方。現地校でのPTA活動で自分自身が価値を生み出す経験をし、CAREER MARK立ち上げメンバーに加わった方。プロボノ・インターン経験を基に、現地でフルリモートリサーチャー・編集スタッフとして活躍し、本帰国後はCAREER MARKの紹介で国際機関フルタイム正社員として再就職された方など。それぞれの一歩は決して大きくないけれど、そこから繋げていけるのだなと勇気をもらえるエピソードでした。



受講者からの質問コーナー

後半ではセミナー応募時に伺った質問に答えていただきました。

①登壇者2人のターニングポイントはいつですか?

あいさんは「新しい出会いから行動した部分」と回答。出会いによって自己分析の大切さに気づいて、自分に向き合えたとのこと。その後の「知り合いの相談に乗る」という小さな一歩もポイントだったそうです。

鎌田からも「小さな一歩が大切だった」とコメント。「お茶会でいいよ」と言われて始めたHimemama Londonがその後大きな気づきに繋がりました。

さらにあいさんから「はじめの一歩を踏み出すのがドキドキする人は、素敵な人に会いに行きましょう!」とアドバイスも。素敵な活動をしている人の近くにいると、活力をもらえて自分も行動してみようと思えるのだそうです。とても参考にしたいと思います!

②海外経験を活かした仕事ってどれくらいあるのですか?

海外経験を活かすというと真っ先に「語学力」がイメージされますが、より大切なのはポータブルスキルの方。例えば「何か問題になったときにどう行動するか?」「すごくうまくいったときは何をしたか?」ということを考えてみましょう。

海外生活ではハプニングも多いはず。その際に「自分はどうやって対処していたか?」「それが仕事現場だとすると、どう伝えられるか?」ということを考えると、自分が海外経験で得られたものを仕事に活かしていくことができると、鎌田は回答しました。

あいさんからは「ブランクがあっても採用できる人=自分の会社で活躍できるかイメージできる人」と、採用担当の知人から聞いたと答えてくださいました。

受講者同士のトークタイム

セミナーの最後は受講者同士が自身のモヤモヤや、今日のセミナーを聞いてやってみようと思ったことを話す時間となりました。お話すると、すでに本帰国された方やまだ引越しして1ヶ月の方など、様々なステージの方が今回のセミナーに参加くださっていたことが分かります。今回は特にタイ・バンコクから参加された方が多かったので、この出会いが今後リアルな交流に繋がると良いなと思いました。



あとがき

登壇者2人の「セミナーから何か持ち帰ってほしい」「帯同期間を充実したものにしてほしい」という熱意が伝わってくる75分。「帯同中にできること」のヒントが溢れ、とても前向きな気持ちになるセミナーでした。ご自身のエピソードのみでなく、多くの方の事例からも「はじめの一歩は小さくて良いんだ」という安心感も得られたのではないでしょうか。第2弾はどこの国のどんな方と繋がれるのか、とても楽しみです!

 

※本セミナーのアフタートークとして、あいさんとインスタライブを行いました!

セミナーを通じて感じたこと・考えたことや、セミナー内で答えられなかった質問にお答えしています。CAREER MARKのInstagramで視聴できますので、セミナーに参加されなかった方もぜひご覧ください。

https://www.instagram.com/p/Cgi7NTBKdRC/

 

 

※CAREER MARKでは現在インターン6期を募集しています。鎌田がお話しした「ビジネススキルを活かせる場に身を置く」チャンスです。

発信することに興味がある方、CAREER MARKの理念に共感できる方など一緒に活動できる仲間をお待ちしております!

 

CAREER MARK インターン6期生募集説明会

2022年9月6日(火) 11:30~13:00(応募締切:9月5日(月)中)

オンライン開催。時差により参加ができない場合は後日録画共有いたします。

ご興味のある方はこちらまで>>



文・CAREER MARK インターン5期 鳥羽夕紀美



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海外生活は、凝り固まった価値観をほぐすチャンス

女性のキャリアとは切っても切り離せない、生理、妊娠、出産、更年期—。
今回は、そんな体の悩みを解決するフェムテック企業、fermata Singapore(フェルマータ・シンガポール)より、丹野直美さんをお招きしてお話しいただきました。

後編となるこの記事では、丹野さんとCAREER MARK共同代表の鎌田に行った、「キャリア」をテーマとしたインタビューを綴っています。キャリアに悩む駐在妻のみなさんのヒントや励みになれば幸いです。

尚、今回のnote記事は、CAREER MARKが運営する部活動「キャリアカフェ・ドイツ部」(以下ドイツ部)が企画し、ドイツ部のメンバーが対談の司会進行、記事作成を行っています。

☆いま話題となっているフェムテックの基本から、世界の潮流までを掘り下げた「フェムテック編」(前編)はこちらから。
☆ドイツでキャリアを語るドイツ部note記事はこちらをご覧ください。

1. 丹野さん、fermataについて

 

ゲスト:丹野直美さん
シンガポール在住。
ベンチャーキャピタルファンド勤務の傍ら、2020年7月よりfermata Singaporeにてカントリーマネージャーを務める。

 

fermata(フェルマータ)について
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」を合言葉に、フェムテック市場の日本・アジアでの拡大を目指し、女性のウェルネスに関連した事業を展開。世界中から集めたフェムテックアイテムを販売するECサイトの運営、フェムテックイベントの企画、フェムテック事業のコンサルティング等を行っている。
fermata株式会社 (日本):https://hellofermata.com/
fermata Singapore:https://sg.hellofermata.com/

2. fermata Singapore × CAREER MARK インタビュー

fermataとの出会い

——丹野さんがいらっしゃるfermata Singaporeは2020年7月に設立されたそうですが、丹野さんがfermataで活動をされることになったきっかけ、経緯について、まずは教えていただけますでしょうか。

丹野さん(以下敬称略):
私はfermataに関わる2年前まで、フェムテックについてはほとんど知りませんでした。
fermataのお仕事には当初より副業として携わっており、本業はベンチャーキャピタルファンドのバックオフィスをやっています。そこのグループ会社でfermataのCEOであるAminaさんが活動されていたのが出会いのきっかけでした。
fermataと出会う前、ベンチャーキャピタルでいろんなスタートアップを見ていたなかで、女性向けの商品やサービス、女性のCEOが少ないと感じていまして、もっと女性のスタートアップが出てきてほしいな、というか、出てくるはずだ、と思っていたんです。
ちょうどそんな時に、グループ会社のチャットで、スタートアップとして始動したばかりのfermataがフェムテックの展示会をやるとのお知らせがありました。「シンガポールでもぜひやってください」と、私からコンタクトを取ったところ、「fermataは海外、特にアジアに進出したいと思っていたんです」とAminaさんより返事が来て、そこから「fermata Singaporeを作ろう」と話が進んでいきました。

——偶然にも、丹野さんが考えていらっしゃったように女性起業家が現れ、その出会いがきっかけでご自分も事業に携わることになり、シンガポールに拠点ができた、ということですよね。よく鎌田さんも言っている「計画的偶発性理論」というか、そういうものを感じました。

丹野:
そうですね。私自身としても本当に意外な展開でした。

 

「戦線離脱した」からこそ、立ち上げた人材事業

——一方のCAREER MARKも、fermata Singaporeと時を同じくして2020年に事業化したんですよね。鎌田さんがCAREER MARKを立ち上げた経緯についても改めて教えていただけますか。

鎌田:
CAREER MARKは駐在妻専門の人材紹介事業をしていますが、なぜ駐在妻専門なのかというと、私自身が夫のイギリス転勤によって専業主婦、いわゆるブランク人材になった経験があるからです。
日本では、半年間のブランクがあるだけでも転職市場において不利になると言われています。私は管理職として人を採用する立場だったので、採用担当者が「この人はブランク人材」って、応募書類をぽんと脇に置くような風潮があるのはよく分かっていました。だから、「あ、もう私は戦線離脱した」って、喪失感に見舞われた駐在帯同生活だったんです。
私のような方って実はたくさんいて、仕事に打ち込んでキャリアを積み重ねてきた、就労意欲が高い駐在妻は多いんです。海外に駐在帯同してキャリアを中断した方のうち、8割が本当は働き続けたかったと答えたアンケートデータもあります。
さらに就労意欲だけじゃなくて、能力も高い。私は帯同先のロンドンで在英日本人女性のコミュニティを立ち上げたんですけど、そのメンバーと一緒に何かを作り上げていく経験をして、企画力や営業力、また話をまとめる力など、みなさんが強みを持っていることを実感しました。
でも、そんな方たちが日本に帰国して、諦めて専業主婦になっている。「もったいなさすぎる」って。とにかく「もったいないもったいない」って思いながら、2年間の駐在帯同生活を過ごしました。
とは言え、私も日本に帰ったらやっぱりブランク人材で、この先仕事として何をすればいいんだろうと帰国後すごく悩みました。悩みに悩んだ結果、世界中で私と同じようにモヤモヤを抱えている駐在妻さんの、働きたいけど働けないという課題を解決しようと決めたんです。本帰国後の2018年に駐妻キャリア支援プロジェクトとして活動をスタートし、2020年春にCAREER MARKとして事業化をしました。

——駐在妻として抱えていた課題意識を実際に事業にするまでには、高いモチベーションが必要なんじゃないかと思います。鎌田さんのその原動力というか、モチベーションはどこから生まれてくるものなのでしょうか。

鎌田:
日本に帰国して、また仕事ができたことがすっごく嬉しかったんです。「戦線離脱した」って私が一度諦めちゃったからこそ、また仕事ができる喜びを、これから帰ってくる駐在妻のみなさんにお届けしたい、という想いがまずありました。
あとは、みんな同じように悩んでいたり、これがあったらいいのに、という希望をよく口にしていたから、誰かが旗を振ってやっていれば、協力してくれる人が現れるかもしれないなって思っていたんです。それで、実際に協力してくれるんですよね。「駐在妻のキャリア支援事業を立ち上げました」って言ったら、もう何年も前に駐在妻だった方がアドバイザーとして関わってくださったりとか、「こういうのがあったらいいなって思っていたから、私の方でも広めますね」って言ってくださったりとか。同じ気持ちを持つみなさんのおかげで頑張れる。原動力になっているというよりは、みなさんに火をつけていただいている。そんな感覚です。

会社も、業界も、海も飛び越えて

——丹野さんは日本で数年お仕事をされた後、シンガポールに渡られて、そこからいくつかの会社でキャリアを築かれてきたということですが、シンガポールでお仕事をスタートされた経緯を伺えますでしょうか。

丹野:
私が新卒で最初に勤めたのは、故郷の大分県の銀行でした。そこで3年ほど働いたんですが、もうちょっと面白い刺激が欲しいと思って、もともと興味があったのと、大学では海外のことを学ぶ機会も多かったので、海を渡ることにしました。田舎に住んでいたからか、東京への心の距離感と海外への距離感があまり変わらなかったというのがありましたね。
20代でまだキャリアが短くても働ける環境ということを考えて、当時はビザがおりやすかったシンガポールに行き先を決めました。

——思い切って海外に渡り、そこで仕事をするという行動力がすごいですね。仕事は渡航されてから見つけられたのですか?

丹野:
はい、シンガポールには日系企業がたくさんあったし、仕事は行けば何とかなるだろうみたいな気持ちでした。多分若かったからできたと思うんですけどね。20年くらい前は、20代から30代の女性が海外で働くのがちょっとしたブームだったんです。
私の場合は、日系企業で何かしら仕事が見つかるかなと思っていたら、予想外に、外資系の証券会社で日本語が話せる人の求人があり、そこに就職を決めました。3、4年程で日本に帰るだろうと思っていましたが、シンガポールの居心地が良かったのと、結婚・出産とライフイベントが続き、あっという間に20年が経っていました。

——その証券会社で働かれた後に、転職も経験されているんですよね。

丹野:
はい、はじめに勤めたアメリカの証券会社で15年働いたのですが、労働時間が長く、子どもが2人いるなかで仕事と生活のバランスを取るのが難しいなと感じたので、思い切って辞めるという選択を取りました
でも私も働くことが好きだったので、パートでいいからフレキシブルに働ける勤務先を探し、見つけたのがいま働くベンチャーキャピタルファンドのバックオフィスです。まだコロナが始まる前だったのですが、その頃からフルリモートが可能で、勤務時間も自分で管理するという、とてもありがたい環境を得ることができました。時間的に余裕がでてきたことが、次のfermataの副業につながったのかなと思っています。
fermataは小売業という、金融とは全く異なる業界で、私には小売の知識も全くなければ、マーケティングやPRの知識もありませんでした。さらに会社設立の手続きから、経理や人事、経営戦略まで、なんでもやらなきゃいけない少人数体制です。大変ではありますが、非常に刺激的で面白い経験をさせていただいていると思っています。

シンガポールの女性のキャリア環境

——本当に多様なキャリアを歩まれていらっしゃるんですね。シンガポールに長く勤められてきて、日本との働き方の違いを感じることはありますか?

丹野:
全般的に、女性がキャリアを築くのは当然と認識されているところが、大きな違いかなと思っています。
最初に働いた外資系企業で気づいたのが、そこで働く女性たちのマインドセットが私とは全く違っていたことでした。というのも、当初の私は海外で働けて、そこそこ生活を楽しんで、お給料をもらえればそれで満足、という感覚だったんです。でも、シンガポールや他の国からきた女性は最初からマネジメントを目指すのが当たり前、という意気込みで、もう意欲が違うんですよ。1on1ミーティングで「自分はいつ昇格できるんだ。どうやったら上に上がれるんだ」と自ら上司にかけあうのが普通というカルチャーです。そこに年齢や性別は関係なく、遠慮もありません。シンガポールでは、管理職に就く女性は実際に多いですし、そんな方々を見ていると、アピール力や自己主張力に秀でているなと感じます。自分はそういう部分が足りていなくて悔しい思いをしましたし、そういうマインドセットとスキルを日本人の女性が普通に持てるようになれればと思いました。

——私は前職が人事だったのですが、日本では管理職になりたがらない女性が多い印象です。シンガポールはその逆ということで、ちょっと意外でした。文化的な背景などもあるんでしょうか。

丹野:
そうですね、女性が働きやすい環境があることが大きいかと思います。シンガポールは共働きが多く、メイドさんを雇うことが一般的なんですよね。私も8年半ほどメイドさんを雇いましたが、彼女に家事をほぼ全部任せられるのでとても助かりました。外食文化で、男性側が奥さんに料理を期待する風潮もあまりないのかもしれません。子どもがいても、フルタイムで働きやすい社会的環境はあると思います。
ただ、完全に男女平等かと言われると実際はそうではなくて、職場や家庭でのジェンダーギャップを少なくするために、政府は取り組みを始めています。

——同じアジアの国でも、全然違いますね。社会的なサポートあってこその女性のキャリアだなと感じました。

自分らしいキャリアを歩むために

——丹野さんが自分らしく、楽しく仕事をしていくうえで、何か大切にされてきたことがあれば、教えていただきたいです。

丹野:
そうですね、自分のそのときの優先順位を決めていくことと、変化に柔軟であることは大事だと思っています。特に女性って、子どもが生まれたら、ものごとの優先順位はかなり変わってきますよね。私はメイドさんがいても、仕事と生活の両立が難しくて葛藤を抱えていました。証券会社を辞めることはすごく悩んだけれども、今では転職してよかったと思っています。
違う業界に入り、日々、失敗や試行錯誤の連続である一方で、ひとまわりもふたまわりも若いスタッフ達と働く環境は刺激的でたくさんの発見があります。
あまり自分に制限をかけず、いくつになっても、やりたいと思うことは思い切ってやってみてもいいと思います。変わっていくことは全然悪くないし、失敗してもそれは糧になるという気持ちでいたいですね。

——お話を伺って、怖がらずに、というところが大切な気がしました。思い切って行動にうつすには勇気がいりますが、やってみて考えようっていうマインドも必要なんだなと。特に海外に居るからこそ、「やってみるチャンス」も多いのかなと思います。

丹野:
そうですね。海外には日本にはないものが転がっていることがあります。例えば、シンガポールでは海外の投資家がファンドを作るケースが多く、そこでニッチな求人のニーズが存在したりします。探せば面白そうな仕事に出会えるかもしれないし、その人のスキルを活かせるものが海外だからこそあるかもしれません。
私が転職先を見つけたのは、お友達に「仕事を探してる」と話したのがきっかけでした。周囲の人に自分のやりたい事を話すのはおすすめです。どこかでネットワークが繋がってチャンスが来るかもしれませんから。また、fermata Singaporeでは、優秀な日本人駐在妻の方たちがボランティアでサポートしてくださっています。「フェムテックに興味があるから、ぜひ手伝いたい」と積極的に関わってくださっていて、そんな風に興味のあるところに飛び込んで、まず経験してみるのもいいのではないでしょうか。

——駐在帯同先で就労やボランティアをしたいと考えている駐在妻も多いので、励みになります。

自分の強み、好きなことを見出す

——鎌田さんは、キャリアメンターとして、駐在妻だけでなく、育休や介護でキャリアブランクがある女性とも向き合っていらっしゃいますよね。ブランクがあるなかでも自分らしいキャリアを歩むために、大切なマインドや、自分らしいキャリアを歩んでいる方に共通するものがあったりすれば、教えていただけますか?

鎌田:
お仕事でたくさんの方のメンタリングを担当するなかで、共通で出てくるのが「自分の強みがわからない」っていう悩みなんです。そこで強みを一緒に見つけるセッションをするんですけど、強みを見つけたことによってその方が自信を持ち、行動が変わっていくっていうのをすごくたくさん見てきました。必ずどんな方でも強みや魅力があるので、そこを見つけていくことが大事なんじゃないかなって思います。

——自分の強みを見つけることってすごく難しいと感じるのですが‥

鎌田:
CAREER MARKの部活動みたいに、仲間と共に何かをしてみることって、外的自己認識を高める行動につながると思うんですよね。ドイツ部のメンバー同士で「こんなことできてすごいね」とか、言ったりしない?

——はい、お互いにないものに気づいたりもしますね。

鎌田:
そうなんです。でも日本で仕事をしていると、なかなか褒められることがない。慣習的に、日本ではできないところを責められるから、それに囚われて、「私なんて大したことできない」って思っちゃう。
だけど実は、自分が当たり前にやっていたことがほかの人からはとても魅力的に見えたり、すごく高いレベルのことだったりする。個人がそれぞれ一歩外に出て、人と一緒に何かをやってみて、そこでお互いにポジティブなフィードバックをするということは、強みを見つけるひとつのポイントだと思います。
それもあって、CAREER MARKはコミュニティを作っているんです。

——まさに私たちドイツ部がそれですね!

鎌田:
そう、やりたいことをやってみる、それに対して共鳴する仲間が集まってくる。そういう仲間同士だと、必ずいいコミュニケーションが生まれるんですよね。そこから自分たちの魅力を見つけたりとか、もっとこれがやりたいよねって目標を見つけて前進できる、その一歩になればと思って、コミュニティを作っています。

——私たちは「キャリアのモヤモヤ」というキーワードのもとにできたコミュニティで、仲間のいる安全地帯でありながら、いろいろ自由にチャレンジできる環境だと感じています。このドイツ部との出会いが自分が前進するきっかけになったと、メンバーとも以前話したことがありまして、もう本当に鎌田さんの言う通りになっているなと思います。
さらに、キャリアブランク中のアクションがその後のキャリアにつながった例など、具体的なお話があれば教えていただけないでしょうか。

鎌田:
とにかくこう、小さなことでいいから好きだと思うことをやってみるって重要だと思うんです。
一例として、商社の事務職をしていた駐在妻の方がいて、「長く働いてきたけど特に何ができるわけでもないし、日本に帰ったら仕事どうしよう」って悩まれていたんです。仕事のことは置いておいて、何をやったら熱中できるのかをその方に聞くと、書くこととか読むことが好きだというので、「それを使うような何かをしてみたら」とアドバイスしたことがきっかけで、CAREER MARKの広報PRのインターンをやってみた。そうしたら自分の書いた文章が周りに評価され拡散され、伝わっているのがわかった。加えて、彼女はものを読んで、思考を深めるのが好きなんだと気づいたらしいんですよね。だから読んだり書いたり、情報収集することを軸に、自信を持ってお仕事してみようっていうことで、現在はフルリモートでリサーチャーや編集を任され、活躍しています。元の仕事内容とは離れて、何が好きだったんだっけ?っていうところに一回立ち返ってから、スタートがきれたんです。
これは私の話になるのですが、私も人材紹介業はもともと経験がなかったんですよね。でも、人を応援したり、人と集まって、何かを話し合って生み出したり、人とつながる、人をつなげることがもともと好きなんです。
仕事がなくなって、なんにも肩書きがなくなったからこそ、そして海外で、ああした方がいいこうした方が良いっていう情報が入ってこないからこそ、自分は何が好きなのかとか、この先の人生何やっていきたいのかという考えがクリアになる気がします。

——たしかに、肩書きが強制的にリセットされますからね。「強みや好きなことを見つける」、私もやってみたいと思います。
おふたりのキャリアについて伺っていて、経験のないフィールドへ一歩踏み出したところが共通点ですし、キャリアは人とのつながりで築かれていく部分もあるのかな、なんて感じました。

誰もが生きやすい社会とは

——それでは最後の質問に移りたいんですけれども、これからどんな社会をつくっていきたいか、目指す未来像についてお聞かせいただけますでしょうか。
fermataとCAREER MARKは、主に女性が抱える、マイナスに捉えがちな問題をプラスに変えていく、という共通したコンセプトがあり、大きな視点でとらえると「女性を含めた誰もが、人生の選択肢を狭めることなく活躍できること」を目指していますよね。その誰もが活躍できる、選択肢がある社会とは、具体的にどんなものか、また、そういった社会に向けて課題に感じていらっしゃることを、伺いたいと思います。
まずは鎌田さんから、いかがでしょうか。

鎌田:
海外から日本に帰ってきて感じるのは、「こんなこと言ったら相手によく思われないだろうな」と、自分の考えを抑えて、発信しないことが多いということです。フェムテックに通じるところもありますが、女性としてこうじゃなきゃいけないとか、家事育児は女性がすべきといった根強いジェンダー規範がありますよね。男性だけでなく、女性自身もそれを払拭できずにいると感じます。だからまずは、自分たちが捉われているステレオタイプに気づく機会がもっとあったらいいなと思っています。
その次に、私がさっき言ったような、自分の強みや楽しいと思えること、この世の中に役立てることは何なんだろうっていうことを考えて、それを自由に発信していけるようになったらいいなと

——例えば、キャリアブランクがあったら復職は難しいかなとか、無意識のうちに決めつけてしまうことが多いのかもしれません。生理についてもそうで、またいつものように乗り越えなくちゃ、みたいな無意識の思考が実はとても大きい気がするので、そこを取り払うだけでも自分の行動が変わってきますよね。
続いて丹野さんにも同じことを伺いたいのですが、いかがでしょうか?

丹野:
私の意見もかなり似ているのですが、fermataのビジョンのように、自分や誰かを生きづらくしている価値観が変容して、タブーがワクワクに変わり、生きやすくなる社会になってほしいです。今はシンガポールで活動していますので、この国や、東南アジアのタブーをもっと理解していきたいし、それぞれの国に応じたタブーへの取り組みや、フェムテックの広め方を模索していきたいです。
もう少し自分ごととして考えると、自分の中の凝り固まった考え方だとか、ものの見方だとか、そういうことに気づくのが大事なんだろうなと思います。いま自分が感じているこの価値観って本当にそうなの?押し付けられたものじゃないのかな?と、おりにふれて、意識するというか。

——鎌田さんの話にも通じますが、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)といいますか、私自身も、例えばドイツや外国の方に対して、〇〇人だからしょうがない、と知らず知らずのうちに思考している部分があるかもしれないと感じました。
フェムテックに関しては、男性から見ればわからない女性の世界で、男性側が思い込んでいる部分もありそうですよね。まずはお互いに知るところからが一歩なのかもしれないですね。

丹野:
そうですね。自分自身、母親だからこうしなきゃ、宿題をちゃんと見なきゃいけないし手作りのご飯を準備しなきゃ、みたいな義務感や罪悪感を無意識に持っている部分があると思うし、自分自身で生きづらくしてるなあと感じます

——海外に住んでいると、言語の問題もあって日本ほど情報が得られず、周りと自分を比較することも少なくなるので、自分の価値観を解放する意味でもいい期間なのかなと思います。
私個人としても、自分の体と向き合ったタイミングでキャリアにも向き合わざるを得なかった過去の経験があり、キャリアとウェルネスはすごくつながっていると改めて感じました。
今回、それぞれの分野で活躍されるおふたりへ質問する機会がいただけて、感謝しています。お話を聞いて、あんまり凝り固まらずにやってみたり、チャレンジしてみたらいいんじゃないかなと、気持ちが軽くなりました。ありがとうございました。

 

文:横田 マリ子
対談運営:CAREEER MARK キャリアカフェドイツ部

 

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からだの悩み・意識を変革し「自分らしいキャリア」を後押しするフェムテック

女性のキャリアとは切っても切り離せない、生理、妊娠、出産、更年期—。
今回は、そんな体の悩みを解決するフェムテック企業、fermata Singapore(フェルマータ・シンガポール)より、丹野直美さんをお招きしてお話しいただきました。

前編となるこの記事では、いま話題の「フェムテック」をテーマとしています。
前半に、丹野さんに話していただいたフェムテック、fermata Singaporeの紹介を、後半はCAREER MARK共同代表の鎌田からの質問として、いま現在のリアルなフェムテック事情を探る対談を収録しました。
最先端のフェムテックアイテムや、世界で大きなうねりを生み出しつつあるフェムテックの潮流を知ることができる内容となっています。

尚、今回のnote記事は、CAREER MARKが運営する部活動「キャリアカフェ・ドイツ部」(以下ドイツ部)が企画し、ドイツ部のメンバーが対談の司会進行、記事作成を行っています。
☆キャリアに悩む駐在妻へのヒントがあふれた「キャリア編」(後編)はこちらから
☆ドイツでキャリアを語るドイツ部note記事はこちらをご覧ください。

1. フェムテック、fermata Singaporeについて

ゲスト:丹野直美さん
シンガポール在住。
ベンチャーキャピタルファンド勤務の傍ら、2020年7月よりfermata Singapore・カントリーマネージャーを務める。

 

——丹野さん、今回はこのような機会をいただきましてありがとうございます。早速ですが、まずはフェムテックとは何かという基本から、丹野さんが働かれているfermata Singaporeについても教えていただけますでしょうか?

丹野さん(以下敬称略):
はい、まず、フェムテック(femtech)は“female”(女性)と、“technology”(技術)をかけあわせた言葉で、生理、妊娠、更年期など、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するプロダクトやサービスのことを表しています。 また、サービスやプロダクトだけではなくて、女性の心身にまつわるタブー、固定観念や、価値観を変容するムーブメントとして捉える側面もあります。

このフェムテックという言葉を生み出したのが、ドイツ発の月経管理アプリ「クルー(Clue)」の創業者のイダ・ティンさんです。2012年、彼女は「フェムテック」という造語を作ることで新しい市場の存在を示し、男性中心の投資家から理解を得にくかった月経管理アプリの資金調達に成功したと言われています。

フェムテックの製品カテゴリーには、生理、不妊、妊よう性(※1)、妊娠、産後ケア、メンタルウェルネス、セクシャルウェルネス、更年期などがあり、女性のライフサイクルのほぼすべてをカバーしています。

※1 妊よう性‥「妊娠するための力」のこと

≪fermata Singaporeで扱う商品の一例≫
左上:Kegg(ケッグ)。おりものを測定し、妊娠しやすい日を把握するためのデバイス。膣に入れて計測し、その結果がすぐにアプリ上で確認できる。
右上:Lilu(リル)ハンズフリーマッサージブラ。ブラの中に空気袋が入っており、その空気袋が電動で動くことによって母乳の出を良くし、ハンズフリーで搾乳しやすくなるよう設計されている。
左下:Perifit(ペリフィット)。骨盤底筋トレーニングができるアイテム。膣に入れ、アプリと連動させて使用する。アプリにゲームが複数用意されており、楽しみながら骨盤底筋を鍛えられる製品。
右下:Lioness(ライオネス)。セクシャルウェルネスアイテムで、自分のオーガズムをアプリ上で可視化できるバイブレーター。

いまフェムテックが話題になっている背景

丹野:
いまなぜフェムテックが盛り上がりを見せているのか、そこには「女性の健康」の進化が遅かった背景があります。原因のひとつは、女性の健康課題がタブー視されていた社会や文化です。また、医学分野で女性の健康関連の研究や治験データが少なかった側面や、女性の起業家・投資家が少なく、新しい製品が生み出されにくかったという要因もありました。
現在は働き方や生き方が多様化し、女性の社会進出が進んだり、出産回数が減ったり、または生まない選択肢をとったりと、ライフスタイルは大きく変化しました。しかし、女性のライフスタイルが変化しても、生理や妊娠といった体の機能自体は変わらないですよね。そのため、生活の変化と自身の体との間にギャップが生まれ、体の不調に悩む女性が多くなっているのではないでしょうか。
実際、昔の女性と比べ、現代の女性は生涯月経回数が約10倍になっているともいわれ、その負荷によって生じる健康課題が増えていると思われます。

フェムテックは女性の健康課題というタブーの領域だからこそ、いま見えている需要や社会へのインパクトは、まだまだ氷山の一角にすぎないと言われているんです。経済産業省のレポート(※2)によると、日本におけるフェムテックの経済効果は2025年に約2兆円になるという試算も出ていて、フェムテックが女性の健康課題を解決し、社会に変革をもたらすのではないかと期待されています。

※2 出典元:https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf

「タブーをワクワクに」fermataの想い

丹野:
fermataについて少し紹介させていただくと、私たちは「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」を合言葉に、フェムテック市場の日本・アジアでの拡大を目指し、女性のウェルネスに関連した事業を展開しています。
fermataを通じて私たちが叶えていきたいのは、これまでは「しょうがない」「こうあるべき」と捉えていたような、さまざまな固定観念を解消していくことです。
日本では実店舗とオンライン、シンガポールではオンラインで、世界から厳選したフェムテックアイテムを販売しています。
それ以外にも、「Femtech Fes!」というイベントを開催し、世界各国から集めた150を超えるフェムテックアイテムの展示会を行ったり、世界中のフェムテック・スタートアップ企業を調査して、マーケットマップを作ったりもしています。また、国内外の企業と組み、フェムテック事業を拡大していくサポートも行っています。

2. fermata Singapore×CAREER MARK 対談

「フェムテック」をきっかけに会話が生まれる

——丹野さんのお話を伺って、fermataさんの目指す「タブーをワクワクに」、「固定観念の解消」という部分が、CAREER MARKの掲げる「駐在帯同≠キャリアのブランク」、「駐在妻が自分だけのキャリアを誇れるように」というコンセプトとつながっていると感じました。それぞれフィジカル/キャリアという視点から、マイナスに捉えられていたことをプラスに変えていく、という共通点がありますよね。
ここからは、鎌田から丹野さんに向けて、フェムテックについての質問を投げかける対談形式で進めていきたいと思います。

鎌田:
私はフェムテックという言葉を2020年頃から耳にしていたのですが、この対談を控えて最近家庭で「フェムテック、フェムテック」と言っていたら、夫に「フェムテックって何?」と聞かれまして。それで、“female”と“technology”をかけあわせた造語だよって説明したのですが、こういう名前、言葉があるのってすごくいいなと思いました。言葉を説明する時に、「女性には生理の痛みとか、更年期とかの健康課題があるんだけど、それに対してテクノロジーの力で解決していこうっていう分野がいま、すごく盛り上がってるんだ」って話をしたら、夫が「あ、そういうところに悩むんだね」と言っていたんです。フェムテックという言葉をキーワードに会話のきっかけができて、悩みを知ってもらう機会ができるなと、夫との会話から感じました。

丹野:
そうですね、フェムテックは会話のきっかけづくりに非常に役立つと私も感じます。
生理痛が重い方の中には、なかなか周囲に言えないとか、パートナーにも伝えにくく感じる方もいるかと思います。そこに対して、例えば、見た目がかわいい生理痛緩和のフェムテックデバイスを持ち出すことで、「これ買ったんだけど、なんだと思う?」と会話を切り出したりできるのかな、と。そのアイテムをきっかけにして、「実は私は生理痛がすごくつらくて、ひと月のうち3日間は動けないくらいになるんだ」と話せるかもしれませんよね。周囲もそこまでの痛みだとは知らずにいることも多いと思うので、理解できたらケアもしやすいと思うのです。
特に男性は、いままで知る機会がなかったために女性の健康に意識がいかなかったという方も多いと思います。理解を進めるために、フェムテックが役立ってほしいです。

日本と世界のフェムテックムーブメント

鎌田:
フェムテックという言葉をよく聞くようにはなってきたのですが、日本では大きな変革は起きているのでしょうか?

丹野:
日本では大きなムーブメントが起きていると思います。2020年が日本のフェムテック元年と言われており、生理をテーマに取り上げる雑誌やテレビ番組が増え、メディアで扱われることが多くなりましたね。

鎌田:
日本だと広く認知されているのは吸水ショーツですよね。

丹野:
そうですね。フェムテックアイテムのなかでも吸水ショーツが圧倒的に人気だと思います。ユニクロさんが2021年に吸水ショーツを発売して、いっきに認知度が上がりました。大企業が扱うようになったということは、産業的にもフェムテックが認められてきたんだなと感じます。

鎌田:
他国でのフェムテックムーブメントはどういったものなんでしょうか?

丹野:
私の暮らすシンガポールでは、2021年にフェムテック元年のような兆しがあったんですが、広まりを見せているのは、実は生理用品じゃないんですよね。シンガポールで最近興っているスタートアップは、性感染症やホルモンのセルフ検査キットをオンラインで購入できるサービスとか、セクシャルウェルネス系の商品とか、日本とはちょっとカテゴリーが違うのですが、メディアや投資業界を中心に、フェムテックの認知度が上がってきた感じがあります。

鎌田:
日本とシンガポールでは、異なるカテゴリーが注目されているんですね。

丹野:
世界的に見ると、アメリカではかなり早くフェムテックムーブメントが起こりました。吸水ショーツだと、アメリカでは10年以上前から広まりを見せていて、ヨーロッパやオーストラリアでも珍しいものではありません。
欧米の特徴は、スタートアップ企業の数が多く、活発なことです。大規模な資金調達を行い、最先端のテクノロジーやAIを使って新商品やサービスを生みだしています。
エルビー(Elvie)というブランドが良い例で、彼女たちが開発した搾乳機はコードレスでブラの中にスポッと入る非常にコンパクトなものです。フェムテック業界をリードするようなブランドになっています。

出典元:https://www.elvie.com/en-us/shop/elvie-pump

鎌田:
それは、本当に役立ちそうですね。
これまでは搾乳時に手がふさがっていたのが解決されますよね。

丹野:
そうなんですよ。見た目もスッキリしていますし。
ただ、まだ値段的には高いんですよね。全てそろえて買うと日本円にして7~8万円くらいでしょうか。

鎌田:
困るけど、搾乳する時期って短いですからね。

丹野:
もっとムーブメントが大きくなれば、大量生産できるようになり、安い価格で手に入れやすいアイテムになってくると思うんです。

——私の暮らすドイツでは、薬局で搾乳機をレンタルすることが多いんです。産婦人科の検診で処方箋をもらい、それを薬局に持っていくと搾乳機が借りられます。加入する保険にもよりますが、レンタル費用もカバーされることが多いと聞きます。日本では、個人的にレンタルはできるけど、自治体で補助するというのはあまり聞かないですよね。

丹野:
フェムテックを扱っていると、各国のそういった医療の保険制度だとか、規制の違いを感じることが多くあります。日本は、安全性に対してとても要求が厳しい。それには良い面も、良くない面もあります。良くないという意味では、新しい製品をなかなか導入しにくいんですね。承認プロセスに時間とお金がかかるんです。
近年は議会や行政がフェムテック支援に動いており、嬉しい流れだと感じます。

世代によって違う?セクシャルアイテムへの意識

鎌田:
今回丹野さんとの対談をきっかけに、乃木坂にあるfermataさんの店舗に伺って、実際に商品を手に取ってみました。

丹野:
スタッフによると、店舗に来るお客様は、自分の悩みを積極的に話してくれるそうです。誰かに聞いてもらいたいという欲求を、実は多くの方が抱えているんじゃないかなと思うんですよね。だから、そのように話せる場所があるのはいいことだと思います。
乃木坂の店舗にはカップルで来られる方や、男性がパートナーのために購入されたり、ご高齢の方もいらっしゃるそうです。

鎌田:
幅広い年齢の方が店舗を利用されているのですね。
丹野さんに年齢層のことでひとつ伺いたいなと思っていたんです。fermataさんで扱う商品を見たときに、生理や妊娠にまつわるアイテムに関してはフムフムってすぐ受け入れられたんですけど、セクシャルアイテムに関しては「おお!こんなのも売ってるんだ」と驚きまして。オーガズムとか、なにか触れてはいけないことに触れているような、私はそういう感覚の40代なんです。そういったセクシャルウェルネス系のグッズにオープンに興味を持つのって、もっと若い人なんじゃないかと思うのですが、実際にはどうなんでしょうか‥。

丹野:
セクシャルウェルネスグッズに抵抗がないのは、Z世代(※3)以降の人たちが多い印象です。fermataのスタッフは若いメンバーが多いのですが、商品やブランドをよく研究していますし、オープンに話していますね。

鎌田:
Z世代の方たちが比較的オープンなのは、どうしてなんでしょうね。

丹野:
fermataのスタッフを見ていると、彼女たちはインターネットやインスタグラムで世界中の情報にリーチできるので、フェムテックで活躍しているブランドや商品など、いろんなことを知っています。情報に触れるなかで、あるブランドが発信するビジョンだったり、メッセージに共感するんでしょうね。そうすると、私ももっと性についてオープンに発信していこう、というようなモチベーションになるんじゃないかな、と思います。そのような子たちが発信して、インフルエンサーになって、それを見ている若い世代の人たちもまた同じように価値観がちょっとずつ変わっていく、みたいな連鎖が起きているのではと私は思います。
でも、私の周りの40代や50代の友人も、「最近セクシャルウェルネスにちょっと興味があって」と言ってくれたりして、きっと年代に関係なく興味はあるんでしょうね。個人的には、更年期に入っていく世代にもマッチするんじゃないかと思っています。
セクシャルウェルネスって、ちょっと視点を変えると、自分のメンタルがポジティブになる、自分の体と向き合える、癒しになる、といった側面もあるのではないでしょうか。

※3 Z世代‥1990年代半ばから2000年代に生まれた世代とされており、幼いころからインターネットやデジタルデバイスに触れてきたことが特徴で、「デジタルネイティブ」だと言われる。

世界では女性の性をオープンにしようという動きも

鎌田:
日本はやっぱり、そういうセクシャルなことに対しては一般的にオープンじゃないですよね。

丹野:
まだまだ恥ずかしいと思う方がきっと多いんじゃないかと思います。

鎌田:
私がイギリスに住んでいた頃、セクシャルウェルネス系グッズのCMがテレビで普通に流れていたんですよ。あと、びっくりだったのが、裸の下半身から好きな人を選ぶっていうマッチングの番組があって。下半身からどんどん上を見ていって、人柄も好きかどうか見るためにコミュニケーションもとって、最後に顔がオープンになり、初対面なのにお互いがヌードで出会ってハグするという、そんな番組を毎週のようにやっていました。

丹野:
ええ〜!それはすごい。イギリスはかなりオープンなんですね。
海外では、女性の性のタブーをなくしていこうという声があがっていますね。
私たちが取り扱っている、デイム(Dame)というニューヨーク発の女性向けプレジャーアイテムのブランドがありまして、以前、ニューヨークの地下鉄に商品広告を出そうとしたら、却下されたそうです。でも、男性向けプレジャーアイテムの広告は、男性器を連想させるような広告でも実際に採用されていたわけです。デイムの広告は性器を思わせるようなものでもないのにどうして却下されたんだ、と彼らは訴訟を起こし、何年も裁判を続けて最近勝訴したというエピソードがあります。

先進的と思われるアメリカでも、女性の性をオープンにすることに対していまだに戦っていたりするんですよね。
話しちゃいけないこと、我慢すること、隠しておくこと、というタブーの意識に気づいて、自身の心身の健康のためにオープンにしてよい、と表に出していくムーブメントが、それこそ世界同時発生的に生まれている状況は面白いですし、希望を感じます。

鎌田:
日本における女性の体や健康課題へのタブー視は、文化的なアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)と言われるそうですね。だから実は、女性である私たち自身も知識不足なんだと感じます。
丹野さんが話されていた、フェムテックがもたらす約2兆円のインパクトという経済的な切り口から「女性の社会進出のために、健康課題はテクノロジーで解決すべきもの」という認識が広まって、女性の体や健康課題をタブーとする固定観念の解消にもつながってほしいですよね。
フェムテックが広がれば、ジェンダーギャップ解消の一助になるはず。まさにfermataとCAREER MARKが実現したい社会に近づきますね。

 

文:横田 マリ子
対談運営:CAREEER MARK キャリアカフェドイツ部

 

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CAREER MARK 2周年特別企画「ブランクがあっても採用される人とは?」模擬面接ウェビナー 開催レポート

2022年4月、CAREER MARKは2周年を迎えました!
2周年を記念して、特別企画「ブランクがあっても採用される人とは?」模擬面接ウェビナーを開催、その内容を紹介したいと思います。

CAREER MARKの始まりは、共同代表 鎌田が経験した2年間の英国ロンドンへの駐在帯同経験。自分自身もキャリアのブランクに悩んだことから「世界中の駐在妻がチカラを発揮できる社会を目指して」をコンセプトに、駐在妻などキャリアでブランクを抱えた人に向けた人材紹介事業をスタート。人材紹介事業だけでなく、人材開発機能も設け、インターンやコミュニティ、1on1キャリアサポートなど駐在妻が再就職に向けて準備ができるような様々な環境を提供しています。

 今回のイベントの主な内容はこちら

1.模擬面接

まずは企画のメイン、大勢の前での公開模擬面接です。今回は2つの企業様、2人の駐在妻の方に協力頂いて模擬面接が実現しました。モデレーターはLAXIC編集長の小山佐知子様。
企業はどのような質問をしてくるのか、どのような目線でブランク人材である駐在妻を見てくるのか、そんな所が見所です。

(1)35CoCreation合同会社(桜庭様)とDさん

シンガポールでの駐在帯同を経て本帰国、現在再就職活動中のDさん。帯同前は製薬会社でMRの仕事をしていました。
シンガポールでの生活が楽しかったと語るDさんに桜庭さんは、

  • 楽しさの源は何だったと思うか?

  • どのようなことにワクワクした気持ちを持って行動できたのか?

  • 逆にやりたくないのはどんなこと?そういうときはどうする?

と質問を投げかけ、Dさんはシンガポールでの出来事や製薬会社でのエピソードを交えながら答えます。面接で印象的だったのは、企業が帯同前のキャリアと同じようにシンガポール帯同中の出来事についても聞いていたこと、どちらの経験も分けずに「どのようなことがDさんの行動力の源泉なのか?」「逆にどのようなことは源泉にならないのか?」に焦点をあて聞いていたことです。

Dさんは桜庭さんとの会話の中で、仲間と一緒に何かをつくりあげることが楽しみの源泉で、それには自分が共感できる事業やテーマであることが大事だと話します。聞いている私たちにもDさんが日本やシンガポールで、どのように楽しみを感じながら前向きな姿勢で生きてきたかがよく分かる面接内容になりました。
 

(2)ラクスル株式会社(松本様)とOさん

現在はシンガポールで海外駐在帯同中、2人のお子さんを育てながらパートタイムで現地の日系企業にて勤務中のOさんです。
松本さんはOさんのシンガポールでの駐在帯同生活のことを

  • どのような気持ちから現地での就職を考えたのか?

  • 実際に現地で生活・就労してみてどう感じたか?

  • 子育てとの両立、言葉や文化の違いでの苦労はどうだったか?

色々な角度からきめ細かく聞いていきます。実はOさん、シンガポールへの駐在帯同が決まった時点で現地での就職活動を開始、渡航前に既に正社員として採用が決まっていたそう。でも実際に働いてみると、文化の違い、言葉の壁、育児との両立に苦労し一度退職を経験。その後現地での生活に慣れてから「やっぱり私は働いていたい」と同じ会社に再度パートタイム勤務という形で復帰したそう。

現地でぶつかった壁、どのような形で乗り越えたのか、壁にぶつかっても仕事を続けたい理由について聞いたことで、松本さんは履歴書だけでは感じられなかったOさんの仕事に対するモチベーションの高さ、熱量を感じられたことが良かったと話します。画面からもOさんの芯の強さ、しなやかな生き方がよく伝わる内容でした。

2.座談会

次はLAXIC編集長小山さんの進行で、模擬面接をされた4名と鎌田で次のテーマについて語ります。

  • ブランク後の再就職 本当の壁は何?

  • ブランク人材を活かす「多様な働き方」とは?

海外駐在帯同によるブランクは、本当に再就職の壁になるのでしょうか?
帰国した駐在妻が再就職活動をする時に駐在帯同中のことには関心を示さない企業に出会った経験があるという話も出てきました。でも今回面接官役を務めてくださったお二人は、駐在帯同によるブランクの有無にはこだわりなく、何をしたい人なのか、何ができる人なのかという観点から採用担当として知りたいことを聞いていた印象です。
桜庭さんは「駐在妻であってもなくても私が知りたいのは‘’何がこの人のエンジンなのか‘’、’’何がこの人のエンジンにならないのか’’。」、松本さんは「スタートアップ企業においては人を一から育てる余裕がないので社会人経験がある人の復帰はありがたい」と語ります。

また、駐在妻の再就職ではフルタイムでの正社員だけでなく、限られた時間でのパートタイムや時短勤務、リモート勤務を活用した多様な働き方をしたいという希望も多く聞きます。仕事に多くの時間を割けないことは再就職の壁になるのでしょうか?松本さんは「企業次第ということはあるけれど、短い時間で成果を出す働き方ができている人は自分の会社でも現にいる。働き方は自由になる流れではないでしょうか」と語ります。

全ての企業ではなくても認めてくれる所はある。ブランクを自分で壁にせずに自分が何をしたいのか、何ができるのか、探してみて一歩踏み出す。そんな気持ちが再就職への第一歩になるのだと改めて感じるお話でした。

3.CAREER MARK新サービス『リターンシッププログラム』とは?

「実際に働き出してみないと分からないことが多いよね」これは、再就職活動をする駐在妻からも採用を行う企業からもCAREER MARKがよく聞く言葉です。このような言葉から6月よりリターンシッププログラムが始まります

CAREER MARKのリターンシッププログラムは「再就職を希望する人に対して、企業で期間限定の就労機会を提供」、離職期間を経て再就職を希望する方と働く意欲のある人を採用したい企業との橋渡しをするサービスです。リターンシップは試用期間として位置づけ、実際の就労前に「求職者と企業がお互いに相性を確認しあい」「就労にあたっての条件をすり合わせることができる」というメリットが。詳しくは近日中にホームページInstagramでお知らせいたします!

4.あとがき

模擬面接に座談会、新サービスの案内と盛りだくさんの内容であっという間の一時間半でした。今回のイベントの開催にあたっては、駐在妻の皆様からも有難いことにたくさん質問を頂きました。

  • 駐在帯同中の経験をアピールする方法は?どんなことをしておけば再就職に有利なのか?

  • 離職期間が5年、日本に帰国する頃には40代になる予定。再就職できるかが不安。

  • 語学力アップは強みになるのか?

  • 事務の経験しかないが、他にどんなスキルがあれば採用につながるか?

  • 子どもの受験準備があり今は働くことができないけれど、仕事に戻りたい。どんなスキルや資格が再就職に生かせるのか?

今回は時間の都合で全ての質問に答えることができませんでしたが、せっかく頂いたご質問、CAREER MARKのインスタライブで共同代表の鎌田、キャリアコンサルタントの小橋がお答えいたします。ぜひInstagramをフォロー、インスタライブをご覧ください!
公式Instagramはこちら

この2周年特別企画は予想を超える多くの方にご参加いただき、好評いただきました。ありがとうございます。「世界中の駐在妻がチカラを発揮できる社会を目指して」これからもCAREER MARKでは世界中の駐在妻と企業をつなぐ橋渡しをするための様々なサービスを提供してまいります。

 

文:CAREER MARK インターン4期 加藤朋子

 

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