駐在帯同を人生のチャンスに変えるコツ。
実は心の持ち方にありそうです。
「駐在妻のもやもや、どうしたらいいですか?」
「駐在帯同期間、何をしたらいいですか?」
に続き、現在自分も駐在帯同中のキャリアコンサルタントが、心の専門家である臨床心理士の先生にお話を伺いました。
最終回の今回は、これまでの内容を心理学の観点からまとめていただきました!
最後に詳しい説明もありますので、ぜひご覧ください。
帰国後の仕事のためだけでなく、駐在妻がこれからの時代を、強くしなやかに生き抜くためのヒントをたくさんいただきましたよ。
ぜひぜひ参考にしてくださいね!
◇聞き手◇
小橋 友美
(CAREER MARK キャリアコンサルタント)
心理学から学ぶ、駐在帯同を充実させるコツ
【原田さん(※以下敬称略)】
1回目の「駐在妻のもやもや、どうしたらいいですか?」でお話した心理学における「自己決定理論(※1)」のように、人間は「内発的動機付け」と言って、自分自身の意思で決めたことには強いモチベーションを持って関わることが出来る可能性を持っています。
これに加えて心理学では「計画された偶発性(プランドハプンスタンス)理論(※2)」もあります。
これは、あらゆる出来事を、「計画された偶発性」によるもの、むしろよい転機と捉え、その時出来る精一杯のことに取り組み、その一見ネガティブな経験を、ポジティブなものに変えて行こうという考え方をすることが、人生により良い影響をもたらすと考えられる理論です。
これらの考えを持って、海外生活をブランクと捉えずに、自分自身の今後の人生にとって有意義な時間にする、という気持ちで考えて行けるようになることで、元気になっていく可能性があると思います。
【小橋】
「計画された偶発性」、これは駐在妻にとっても、とても役に立つ考え方ですね!!
私も以前は、仕事でも子育てでも、計画を立てて目標を達成することが成功と考えていました。
でも駐在帯同となるといろいろなことが思い通りに行かず、見通しすら立てられないのですよね。
そうした自分の努力が及ばない環境であっても、オープンマインドでその時できることに精一杯取り組むことが、自分を元気にしてくれるということですね。
実はこれまでCAREER MARKのセミナーでは企業経営者の方にご登壇いただいたのですが、その際、駐在妻の強みとして「アンラーニング(※3)」や「レジリエンス(※4)」を教えていただいたのです。
こうした力は変化の早い今のビジネス環境で、企業から強く求められるスキルということも教えていただきました!
先ほど原田先生がおっしゃっていた「ネガティブ・ケイパビリティ(※5)」もそうではないかなと思います。
【原田】
なるほど、若干異なっていても、経営者の方々の視点は非常に興味深く、そして大変勉強になります。
昨今のように、先の見通しがたたないコロナ禍だからこそ、「アンラーニング」や「レジリエンス」のスキルを持った駐在妻たちが強みを生かしてビジネス現場で貢献して行くことが出来る、と私も思います。
【小橋】おっしゃる通りだと思います。心の専門家である原田先生の言葉、勇気づけられる方がたくさんいると思います!!
どうもありがとうございました。
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あとがき:駐在帯同はこれまでにない成長のチャンスにできる
私は自分自身が駐在帯同する前、帰国後の駐在妻について不思議に思うことがありました。
それは、多くの方が仕事への不安を口にしながらも、自分自身のあり方というか、ご自分そのものには静かな自信を持てていることです。
どうしたらこうなれるのだろう?と思っていました。
でもこうして原田先生のお話を聞く中で、そうした自分への自信とは
「私は、会社が変わってもやっていける」
「私は、環境が変わっても対応できる」
「私は、不安を感じてもうまくやっていける」
という変化に動じない気持ちだったのだなと確信しました。
見通しの立たない未来でも受け入れ、変化する自分も受け入れて前進できた、という駐在帯同中の経験があったからこその自信だったのですね。
私自身、言葉も文化も違う海外で生活を立ち上げ、日々の暮らしを継続させていくことは、これまでの仕事とはまた違った人間的成長をもたらしてくれると感じています。
こうした人間的成長の期間を「ただのブランク」としてしまうことはもったいないですね。
それをどう仕事に活かすかという点でも、私たちCAREER MARKはサポートしていきたいと思います。
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臨床心理士の先生に聞く駐在帯同の活かし方、いかがだったでしょうか?
「駐在帯同=キャリアの終わり」と考えるのではなく、これまでとはまた違う成長ができる転機ととらえると、見える景色も変わってきそうですね。
原田先生、どうもありがとうございました。
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駐在帯同をブランクにしない!5つのヒント
(原田舞香・CAREER MARK共同監修)
1.自己決定理論(Self Determination Theory)
人は、内なる心理的欲求に駆り立てられて自由選択的に行動するものであり、課題遂行に伴う自由選択や、課題に取り組むことそれ自体が喜びや満足につながって行動に動機づけられることを内発性動機づけ(intrinsic motivation)と呼ぶ。自己決定理論はこの概念を発展させ、ある行動に対する自己決定性の高さがパフォーマンスや精神的健康に影響を及ぼすという理論。
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ここまでお読みくださってありがとうございます!
第1回目、第2回目はこちらから!
駐在妻、そしてブランクに悩むすべてのみなさんの励みになればうれしいです。
◆第1回:「駐在妻のもやもや、どうしたらいいですか?臨床心理士の先生に聞きました」
◆第2回:「駐在帯同期間、何をしたらいいですか?」
◆第3回:「駐在帯同をチャンスに!5つのポイント」
文:CAREER MARK キャリアコンサルタント 小橋友美
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