2022年7月22日、「本帰国後の自分のために、駐在帯同中のいま わたしができること」と題し、世界を繋ぐ!キャリアコラボセミナー第1回が開催されました。
今回、CAREER MARK共同代表 鎌田とともにキャリアについてお話いただいたのは、タイ・バンコク在住の礒田あいさん 。自身も駐在帯同中でありながら、駐在妻向けにキャリアデザインワークショップを多数開催されています。
セミナー当日はタイ・バンコクを中心として、世界各国から30名を超える方にご参加いただきました。それだけテーマへの関心の高さが伺える今回のセミナーについて、レポートをお届けします。
- 帯同中のアイデンティティ・クライシスを経験した2人を繋いだご縁
- 不安を原動力に行動するも停滞感に焦っていた
- 新しい出会いから自分の「やりたい」に気づけた
- 帯同中をどうすごすか~あいさんからのメッセージ~
- 小さな一歩が大きな気づきをくれた帯同期間
- 自身の経験からCAREER MARK立ち上げへ
- 帯同中にやるべきこと~鎌田の視点から~
- 受講者からの質問コーナー
- 受講者同士のトークタイム
- あとがき
- CAREER MARK インターン6期生募集説明会
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【登壇者】
礒田あいさん
海外女性のためのキャリアデザイン主宰
2019年よりバンコク在住。大手通信会社を退職し駐在帯同したが、来タイ当初アイデンティティ・クライシスによりキャリア迷子に。ご自身の経験をもとに「どこにいても 自分らしいライフキャリアを描き、幸せを感じて生きる女性が増えること」を願い、2021年6月より「海外女性のためのキャリアデザイン」を主宰。駐在妻ならではの環境を理解し寄り添い、100名以上のキャリア支援に携わる。
鎌田薫
CAREER MARK共同代表
大学卒業後、金融業界、リクルートを経てハリウッドビューティサロン支配人に。企画営業、事業企画、経営企画などに従事。育児休業復帰直前に夫の駐在が決まり1年8ヶ月ロンドンヘ。帯同中に在英日本人女性のコミュニティを立ち上げ、本帰国後これからのキャリアを見据え、コーチング資格を取得。WEBメディア「LAXIC 」編集長在任中にCAREER MARKの前身となる、駐妻キャリア支援プロジェクトを立ち上げる。
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※CAREER MARKについてはこちら
帯同中のアイデンティティ・クライシスを経験した2人を繋いだご縁
セミナーはCAREER MARKコミュニティマネージャー 筧中の司会進行により、和やかに始まりました。登壇者の自己紹介では、2人とも仕事を離れ帯同した際、キャリアについて悩んだ経験があったことに触れました。その経験がもとになって今の活動に繋がっているとのこと、詳しく聞きたい部分です。
また今回のセミナーは、2人の共通の知人であるカリフォルニア在住ライフキャリアコーチ 吉川ゆりさん が繋いでくださって実現したそうです。2人それぞれが吉川さんのポッドキャスト に出演したのがきっかけとのこと。アメリカと日本(もとロンドン)、タイが繋がって企画ができるとは、今後の広がりを想像するとわくわくしてきました。
不安を原動力に行動するも停滞感に焦っていた
まずはあいさんより自身の帯同生活で考えたことや行動したこと、またそこから得た学びを共有いただきました。
2019年の帯同開始時、退職して「●●会社の礒田さん」から「xxちゃんのママ」「礒田さんの奥さん」という肩書で呼ばれることが増え、「何者でもなくなったような気持ちでした」とアイデンティティ・クライシスに陥っていたあいさん。その後1年半ほど、仕事の代わりにボランティアや語学学校、友達に会うなど日々のスケジュールを埋めていましたが、「他人から見ると充実しているように見えるけど、自分としては進んでいる気がしなくて停滞感を感じていた」とのこと。その気持ちがよく理解できる駐在妻の方も多いのではないでしょうか。
新しい出会いから自分の「やりたい」に気づけた
転機はコロナ禍に訪れます。バンコクもロックダウンとなった際に、オンラインで日本のコミュニティのお手伝いを始め、そこで知り合った起業家の方々に当時のモヤモヤを相談。「それは辛いね」と共感いただいたものの、「あなたのビジョンは何?」と聞かれたら
「自分のことなのに答えられない!」と認識し、ショックだったそうです。その後、会社員時代に新卒採用に関わっていた経験から、コミュニティ運営のサポートをしてくれる大学生の就職活動を支援することに。エントリーシート作成や面接練習のフィードバックを通じて彼女の目が輝いたことで、「私はこういうことがしたかったのかも」と気づいたとお話くださいました。また自分のことを語れない危機感から、コーチングを学び始め自己理解を深めていきます。
就職活動支援について発信してみたところ、他の大学生も連絡をくれるようになりましたが、どうしても目先の面接に向けた対策になりがちでした。感染状況も落ち着いてきた中であいさんが考えたのは「もっと根本的に人に関わりたい」ということ。そこから主にバンコク在住の駐在妻に向けて、キャリアワークショップを開催するようになったそうです。
帯同中をどうすごすか~あいさんからのメッセージ~
振り返ると、帯同生活前半の行動は「不安」が原動力だったものの、後半になるにつれて自分の「やりたい」が原動力になっていったとのこと。「苦しい前半があったから今があるけれど、セミナー参加者の方にはぜひショートカットしてほしい」とあいさんから優しいメッセージも。
さらに、ワークショップ受講者の例についても取り上げられました。帯同期間を充実したものに変えていける方々の共通点は、「理想の未来に向けて自発的に進んでいる」「ねば・べき・常識からの脱出」とのこと。特に帯同・コロナ禍など自分ではコントロールできない状況に向き合ったことで、「先読みできない時代だからこそ、行動を積み上げていくことが大事」だと実感したそうです。
最後に「帯同中はありたい姿を考えて、いまできることで行動していってほしい」と語るあいさん。ご自身が沢山モヤモヤして、沢山考え、沢山行動したからこそ辿り着いたというエピソードには終始熱がこもり、聞いていて非常に励まされる気持ちになりました。「誰かに会う、何かを話すというのも行動の1つですよね」と筧中からのコメントもあり、「自分にも何かできるかもしれない」という気持ちが強くなったと思います。
小さな一歩が大きな気づきをくれた帯同期間
次に鎌田より、自身のロンドンでの帯同経験について、また人材紹介業に携わる視点から「帯同中にやっておくべきこと」をお伝えしました。
鎌田も渡英当初は新鮮さから日々楽しく過ごしていましたが、3ヶ月ほど経つと家族との関わりしかない「今の私にはバリューが無い」と、アイデンティティ・クライシスに陥ります。それまで仕事をしてきた万能感のある自分とのギャップが大きかったそうです。
はじめの一歩のきっかけは、日本のママコミュニティ Himemamaを海外進出させてみないかと、代表からお声がけいただいたこと。自信を失っていた鎌田は断ろうとしたそうですが、「大きなことはしなくていいから、お茶会でいいんだよ」との言葉に励まされ、Himemama Londonを立ち上げました。その際に大事にしたのは「母でもない、妻でもない、わたしが主役の場を作ろう」ということ。コミュニティで自分たちのことを話すうちに、各メンバーのスキルがコミュニティ運営にも活かされていきました。力のある駐在妻が集まる中で、「みんな意外と自分の強みに気づいていない。もったいない!」という気持ちが大きくなったそうです。
自身の経験からCAREER MARK立ち上げへ
また「この機会に興味があることを学んでみよう」と、オンラインでコーチングの資格を取得。自分の好きなことをよく考えたら、「人の支援が好き」ということに気づきました。それが帰国後のCAREER MARK立ち上げや、現在もMentor Forでメンターとして働くことに繋がっているとのこと。
その後、CAREER MARKを運営する中で「異文化適応過程」について聞く機会があり、「帯同後に落ち込むのは皆さんが通る道なんだ」と知ったそうです。「もし落ち込むのが普通なんだって知っていたら、少し気持ちが軽くなりませんか?」CAREER MARKは、こういった駐在妻の皆さんに知って欲しい情報も発信しています。(公式ブログ記事:駐在妻のもやもや、どうしたらいいですか?臨床心理士の先生に聞きました )
帯同中にやるべきこと~鎌田の視点から~
①キャリアの棚卸しをし、職務経歴書を書いておく
本帰国後は引越しで忙しく、気づけば数ヶ月経っていることも多いので、帯同中からぜひ準備してほしいとのこと。その際はライフラインチャートの作成や、クリフトンストレングス診断の活用、またあいさんが主宰するようなワークショップに参加するのも良いそうです。客観的に見ることで「自分の中の当たり前がそうじゃない!」と気づくことができます。
②所属が無い今だからこそ、やってみたいことにチャレンジをしてみる
好きなことを軸に行動してみたり、現地ボランティアや学校活動への積極的な参加など、帯同生活の充実が意外とその後のキャリアに活きていくとのこと。
③ビジネススキルを活かせる場に身を置く
フルリモートのプロボノやインターン、ビザと環境が許す場合は現地での就労(パート・正社員)など、帯同中でも機会はあるものです。しばらく眠っていたビジネス脳を使えること、また様々なバックグラウンドの方と仕事をすることで、自分の強みに気づくことができます。
さらに帯同中の小さな一歩を帰国後のキャリアに繋げていった例もご紹介。CAREER MARKの部活動立ち上げから、専業主婦として初のLinkedInクリエイターになった方。現地校でのPTA活動で自分自身が価値を生み出す経験をし、CAREER MARK立ち上げメンバーに加わった方。プロボノ・インターン経験を基に、現地でフルリモートリサーチャー・編集スタッフとして活躍し、本帰国後はCAREER MARKの紹介で国際機関フルタイム正社員として再就職された方など。それぞれの一歩は決して大きくないけれど、そこから繋げていけるのだなと勇気をもらえるエピソードでした。
受講者からの質問コーナー
後半ではセミナー応募時に伺った質問に答えていただきました。
①登壇者2人のターニングポイントはいつですか?
あいさんは「新しい出会いから行動した部分」と回答。出会いによって自己分析の大切さに気づいて、自分に向き合えたとのこと。その後の「知り合いの相談に乗る」という小さな一歩もポイントだったそうです。
鎌田からも「小さな一歩が大切だった」とコメント。「お茶会でいいよ」と言われて始めたHimemama Londonがその後大きな気づきに繋がりました。
さらにあいさんから「はじめの一歩を踏み出すのがドキドキする人は、素敵な人に会いに行きましょう!」とアドバイスも。素敵な活動をしている人の近くにいると、活力をもらえて自分も行動してみようと思えるのだそうです。とても参考にしたいと思います!
②海外経験を活かした仕事ってどれくらいあるのですか?
海外経験を活かすというと真っ先に「語学力」がイメージされますが、より大切なのはポータブルスキルの方。例えば「何か問題になったときにどう行動するか?」「すごくうまくいったときは何をしたか?」ということを考えてみましょう。
海外生活ではハプニングも多いはず。その際に「自分はどうやって対処していたか?」「それが仕事現場だとすると、どう伝えられるか?」ということを考えると、自分が海外経験で得られたものを仕事に活かしていくことができると、鎌田は回答しました。
あいさんからは「ブランクがあっても採用できる人=自分の会社で活躍できるかイメージできる人」と、採用担当の知人から聞いたと答えてくださいました。
受講者同士のトークタイム
セミナーの最後は受講者同士が自身のモヤモヤや、今日のセミナーを聞いてやってみようと思ったことを話す時間となりました。お話すると、すでに本帰国された方やまだ引越しして1ヶ月の方など、様々なステージの方が今回のセミナーに参加くださっていたことが分かります。今回は特にタイ・バンコクから参加された方が多かったので、この出会いが今後リアルな交流に繋がると良いなと思いました。
あとがき
登壇者2人の「セミナーから何か持ち帰ってほしい」「帯同期間を充実したものにしてほしい」という熱意が伝わってくる75分。「帯同中にできること」のヒントが溢れ、とても前向きな気持ちになるセミナーでした。ご自身のエピソードのみでなく、多くの方の事例からも「はじめの一歩は小さくて良いんだ」という安心感も得られたのではないでしょうか。第2弾はどこの国のどんな方と繋がれるのか、とても楽しみです!
※本セミナーのアフタートークとして、あいさんとインスタライブを行いました!
セミナーを通じて感じたこと・考えたことや、セミナー内で答えられなかった質問にお答えしています。CAREER MARKのInstagramで視聴できますので、セミナーに参加されなかった方もぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/p/Cgi7NTBKdRC/
※CAREER MARKでは現在インターン6期を募集しています。鎌田がお話しした「ビジネススキルを活かせる場に身を置く」チャンスです。
発信することに興味がある方、CAREER MARKの理念に共感できる方など一緒に活動できる仲間をお待ちしております!
CAREER MARK インターン6期生募集説明会
2022年9月6日(火) 11:30~13:00(応募締切:9月5日(月)中)
オンライン開催。時差により参加ができない場合は後日録画共有いたします。
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文・CAREER MARK インターン5期 鳥羽夕紀美
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