CAREER MARK公式ブログ

駐妻キャリア支援CAREER MARKのブログです。 駐在妻・もと駐在妻の人材紹介を通して「また働きたい駐在妻」と 「もっと成長したい企業」をつなぎ、 ブランクがあってもまたチカラを発揮できる社会を目指しています。 駐在妻の再就職インタビューやキャリアセミナーレポートなどを掲載中!

私の人生は私のもの

もと駐在妻の再就職リアルストーリーVol.6

パートナーの海外駐在によって仕事をやめて日本を離れた女性たち。「駐在妻」と呼ばれる彼女たちのなかには、帰国後にまた仕事に戻る方もたくさんいます。自分が本当にやりたい仕事は何か、そして、それを叶える働き方とは。

帯同中にご自身を見つめ直し、第二のキャリアを切り開いたもと駐在妻のリアルストーリーをご紹介します。

Sさんプロフィール

2010年 日系大手製薬会社にてMRとして勤務

2019年~2021年 休職し、シンガポール駐在帯同

その間、駐妻カフェでボランティア活動

2020年 帯同中に希望退職者募集に応募し、退職

2022年 株式会社WOMAN COLLEGEで勤務開始(業務委託契約)

現在、東北地方からフルリモートで週2~3日、1日4時間程度勤務

 

私の人生は私のもの

——Sさんは現在、東京の会社でフルリモート勤務をされていますね。お仕事はいかがですか?

 

Sさん(以下、敬称略):とても面白いです!ダイバーシティや女性活躍という観点から企業にコンサルティングをする会社なのですが、他社の社長様や女性で起業された方など、様々な方とお会いできる機会もあって、刺激的です。勤務先の女性社長もすてきな方で尊敬しています。

 

——楽しくお仕事に取り組まれている様子が伝わってきます。駐在帯同前は大手製薬会社で長くMRのお仕事をされていらっしゃいましたが、以前と全く異なる今のお仕事を選んだ理由は何ですか?

 

S:以前の会社を退職した際、せっかく苦労して入った会社を辞めるのだから、次は自分が思うような働き方で、やりたいことをしたいと思いました。

少しでもお給料が高いとか、大企業であるなどの条件面で選ぶのではなく、ここなら自分が成長できるという場所で働きたいと考えていました。

 

——事前のアンケートの「再就職できた理由は何だと思いますか?」という質問に対しても、「自分がここで認められたいと思うところに身を置く」と答えてくださいましたね。この言葉に感銘を受けました。特に駐在帯同後だと、自分のスキルに不安を感じてしまって、「行きたい会社を探す」よりも「入れてくれる会社を探す」という気持ちになってしまいがちです。でもSさんの場合は、自分の軸を持ってより主体的に仕事を探されていた印象です。

 

S:何でも自分で決めるということは、大事ですよね。そうじゃないと、納得感がないと思うのです。自分で決めたからにはと、踏ん張る原動力にもなります

 

——帯同とはいえ、自分の人生だから自分で決めて行動していく、というのが満足度を上げていくポイントかもしれないですね。

 

S:本当にそうだと思います。私、実は宝塚歌劇がものすごく好きなのですが、ある演目のなかで「私の人生は私のもの」というセリフがあって、昔からとても好きなんです!!自分で自分の人生の舵を取らないと!と思っています。 

ナショナルデー準備中のセントーサ島のビーチ

「ボランティア活動は職務経歴ではない」と書類から消されて

——再就職の準備で一番大変だったことは何ですか?

 

S:書類(履歴書・職務経歴書)の準備が大変でした。

初めての転職活動だったので、書類を書いたことがなくて。職務経歴書って何?!というレベルでした。

 

——とてもうまくPRできている職務経歴書でしたよ!特に、ボランティア活動についての書き方がすばらしかったです。

 

S:ありがとうございます。でも、以前、別の人材エージェントで再就職サポートを受けた際、「ボランティアの部分は、職務ではないのでいりません。消しておきました。」と言われて、大ショックだったことがあります。

逆に、私のこれまでのボランティア活動が評価されるような企業に応募したいと強く思いました。

 

——「駐在帯同中の活動も含めて自分を認めてくれる企業で働きたい」と思ったのですね。そこがSさんの強さ、しなやかさだと感じます。

 

S:もし、一人で孤独に再就職活動をしていたら、単純にボランティアの部分は消すものだと思っていたかもしれません。ボランティア活動の仲間と、活動についての記載を消すことへの違和感を共有できたから、自信を持って自分の経験を職務経歴書へ書くことができたのだと思います。自分の価値観を共有できる場所を持っておくのは大事だと思います。

以前と同じ業界で同じような仕事をするなら、ボランティア活動の記載はなくてもよかったと思います。

でも私の場合は、駐在帯同を通じて仕事に対する考えも変わっていました。子どもとの時間をしっかりとることのできるよう、時間をうまく使って働きたいというのが第一にありました。その上で、自分の興味が向き、成長できるところがあればという感じでした。

 

——はじめから今のようなお仕事を希望されていましたか?


S:どんな働き方をしたいかは明確にありましたが、どんな仕事がいいのか、どんな会社がいいのか、最初はまったくわかりませんでした。

CAREER MARKに会員登録したあと、キャリアコンサルタントと面談しましょうとご連絡いただいて、小橋さんと面談しました。そのとき、「やりたい仕事は何ですか?」「これから活かしたいスキルは?」と色々な質問をいただくうちに、「働く女性を支援する仕事があるなら、そういうことをしてみたい」と気付いたんです。自分について紐解いて話していく中で、方向性を定めることができました。

——よく覚えています。MRをずっとされていたので理系や営業の仕事の提案をしたのですが反応が良くなくて。思い切って、これまでのご経験や考えから「女性を支援する仕事などは?」と話すとSさんの目が輝いてらっしゃったので、ああ、今度はこういう仕事でご自分の力を発揮されたいんだなと感じました。ちょうどWOMAN COLLEGE様からの求人があったので、これはSさんにピッタリだ!とすぐに紹介したんです。

S:就職は、本当にマッチングだと思いました。10社受けて10社から内定をいただけるわけではないですし。自分に合うところ、お互いがいいなと思ったところで働くのが一番良いと思いました。

シンガポールと言えば!の風景。水陸両用観光バス「ダックツアー」からの眺め

駐在帯同中は「戦略的ボランティア」

——ご退職のきっかけは何ですか?

 

S:退職したのは帯同中です。育児休暇中に夫のシンガポール駐在が決まり、当初は休職制度を利用して帯同しました。実は、その時点で退職するかどうか、少し迷ったんです。でも、新卒からずっといる会社で、一度正社員という路線から外れると戻れないのではないかという恐怖があり、退職する勇気は出なくて。ところが、たまたま帯同中に大規模希望退職の募集がかかりました。未来を応援するような、前向きな会社の雰囲気にも後押しされ、そのタイミングで退職しました。

 

——「一度路線から外れると戻れなくなるのでは」という恐怖は、多くの方が感じると思います。仕事をしていると帯同すること自体を迷う方も多いと思いますが、Sさんはいかがでしたか?迷いや不安はありましたか?

 

S:帯同するかどうか、私は全く迷いませんでした。むしろ「海外に住めるチャンスがあるの?やったー!」という感じで。夫は家族に相談してから会社に返事をするつもりだったようですが、「どうしてその場で行くって言ってこなかったの?!」と!(笑)

帯同を迷わなかった理由として、育児休業中だったということもあると思います。「ぜひ行かせてください!」という感じで、迷いはありませんでした。

 

——帯同時に休職を選んだことについて、どんなことがよかったと感じますか?

 

S:休職をメリットと捉えるかどうかは人それぞれだと思うのですが、「せっかくの帯同期間を何もせず過ごしてはいけない、何か成長して帰らないと」というマインドでいられたのはよかったかもしれません。職場復帰した際に、「わたしのシンガポール生活」をプレゼンするイメージが湧いていました。若干のプレッシャーも感じつつ、モチベーションの維持に繋がったことは、よかったです。

 

——なるほど。たしかに、Sさんは帯同中に英語学習やボランティア活動など、精力的に活動なさっていましたね。英語学習では、TOEIC受験に加えて、TESOL()にも挑戦されたのですね。

 

S英語圏へ行くのであれば、TOEICスコアをアップさせて帰りたいという思いは、帯同前から持っていました。

当時は英語の先生になることも視野に入れていたので、TESOLもがんばってみることにしたのです。とにかく目に見える資格を取って帰りたい、次のキャリアに繋がる資格を取りたい、と考えていました。

現在のところ、TESOLを直接仕事に活かしてはいません。でも、何より、自信になりました!

英語でエッセイを何本も書いたり、模擬授業したり。しっかり努力すれば目に見える形で結果がついてくる、やればできるということを自分でも感じ、証明できたので、挑戦してよかったと感じています。一緒に学んでいた仲間や先生と交流できたことも、本当によかったと思います。

 

——資格が自信に繋がるのはすばらしいですね。ボランティア活動にも積極的だったと伺いました。

 

S:「駐妻カフェ」という団体で、ボランティア活動をしていました。

 帯同前から情報収集として駐妻カフェのキャリア体験記事を読んでいました。シンガポールへ引っ越してから2ヶ月後にボランティアの募集をしていて、ちょうど良いタイミングだったので応募しました。私にできることあるのかなとちょっと迷いましたが、思い切って応募しました!

 

——前向きに応募したところが素敵です。実際に活動してみて、いかがでしたか?

 

S:私の駐在生活はこのボランティア活動と共にあると言っても過言ではないほど、打ち込めました。チームで何かを成し遂げることが本当に楽しかったし、やってよかったと思います。

 

——そのときに培ったスキルや力で、今役立っているものや、自分を支えてくれているものはありますか?

 

S:ボランティアの活動は、どのくらいの熱量で、どれくらい関わることができるか、人それぞれ状況によって異なります。でも、成し遂げたいものがある。仲間たちの状況を感じとって、うまくみんなが活動できるように、でも最終的にはやりたいことが達成できるようにしたいですよね。活動していく中で、想像力やチームワークのためのコミュニケーションスキルが鍛えられました。

リモートで活動することによってITスキルも身につき、よかったと思います。会社員のままだったら使わなかったであろうITツールも、ボランテイア活動を通して学び、使えるようになりました。

 

——今、そのITツールを使ってお仕事されていますよね!

 

S:はい!駐妻カフェのボランティアは、フルリモート前提なんです。世界中の、会ったことがない方々と活動し、フルリモートでも信頼関係が構築できるんだ!とわかったので、フルリモートの仕事に対するハードルは感じませんでした。

 

——とても前向きに活動されていた様子が伝わってきます。帯同中に、私のキャリアはマイナスになる、キャリアが終わる、というような不安はお持ちではなかったのでしょうか?

 

S:帯同中のボランティアは、空白期間ではなく、未来へ繋げることを意識して戦略的にやるイメージでした。「戦略的ボランティア」という言葉がありますよね。そのイメージで取り組みました。

空白だなんてとんでもないです!ボランティアでも、これを一生懸命やっていました!こんなスキルを身に着けました!と言えればいいと思います。

未経験の仕事でも採用された理由

——渡航前も帯同中も前向きに過ごされていますね!落ち込んだりしたことはないんですか?

 

S:回復は早い方だと思います会社員時代は、失敗したと思っても2時間くらいで立ち直る!いうのが売りでした!(笑)

 

——なるほど、お話していると、ポジティブシンキングとレジリエンスを併せ持つSさんの自信が清々しいです!

 

S大切なのはポジティブシンキングと自信だと思っています。特に、再就職でキャリアチェンジする場合、経験を売りにすることはできないので、学ぶ姿勢があるかどうかをわかってもらうことが大事だと思います。自信がある人の伝え方って、面接などでも滲み出ると思うんです。駐在妻のみなさんは本当に素晴らしい人財ばかりなので、しっかりとアピールできたら強いと思います。

 

——自信が大事だと感じた具体的なエピソードはありますか?

 

S:ボランティア活動の中で、駐在妻のみなさんのキャリアや再就職に関わるさまざまなお話を伺う機会がありました。そこで、みなさんすごいスキルがあるのに自信がなくてもったいないという話をよく耳にしました。他の人にはないスキルを持っているのに、それが普通だと思っていらっしゃる

また、多くの方と出会い世界が広がったことで、その人の自信って、話し方でなんとなく伝わるな、自信を持っている方は魅力的だな、と感じました。

 

——おっしゃる通りです。キャリアコンサルティングを行う私たちにとっても、「自信」はキーワードですね。Sさんから駐在妻のみなさんへお伝えしたいことはありますか?

 

S:キャリアの体験談ってたくさんあって、読むと落ち込んでしまう場合もあると思います。私自身もそうでした。帰国前から保育園も再就職先も決めたという人の話を聞いて、焦ったこともあります。

がんばって本帰国の半年前から情報収集やエージェント登録してみたのですが、実際にはタイミングが合っていなくて・・・早過ぎちゃったんです。今すぐ働けますというタイミングではなかったので、エージェントからは、またそのときにお願いします言われてしまいました。タイミングって大事ですよね。

帰国して、生活が落ち着いてから再就職活動をスタートさせても良いんだな、という気持ちに切り替えました。帰国したらすぐ働きたい、働かなきゃという気持ちもあったけれど、ここで焦ってはいけない、焦らないように、と自分に言い聞かせていました。

今は、それぞれが自分のペースで、自分の道を見つけていったら良いのでは、と思います。自分の場所は、必ずあるはずです!

 

——ペースもご自身でコントロールしながら、主体的に取り組まれたのですね。Sさんの「私の人生は私のもの」という思いが光りますね!

Sさん、どうもありがとうございました。

 

TESOL

Teaching English to Speakers of Other Languagesの略で、英語を母語としない方に向けての英語教授法のこと。

 

* * *

スペシャルインタビュー:代表取締役 黒田様に聞きました!

今回、勤務先の株式会社WOMAN COLLEGE 代表取締役 黒田佳奈子様にもインタビューをさせていただきました!

——Sさんのどのような点に魅力を感じて採用されましたか?駐在帯同中に仕事をしていなかったことで、「仕事のカンが鈍っているのでは?」「スキルが期待できないのでは?」というような不安はありませんでしたか?

 

——黒田様:ブランクはまったく気になりませんでした。
逆に海外でのご経験はきっと想定外のこともたくさんあって、会社員生活の中でできる経験とはまた違うと思いますし、プラスに感じました。ビジネスパーソンとしても大切な、胆力とかレジリエンスのようなものは、会社勤めを通じてのみ養われるものでもないかなと思っています。
駐在帯同期間中に、会社勤めのときにもなかったような力を発揮された方も多いのではないでしょうか?
私はむしろ会社を辞めた後のことを知りたいと思う方です。職務経歴書を読めば会社員時代のご経験や成果はだいたい想像ができますが、勤めていない期間というのは、誰かが役割を指示してくれるわけではありませんので、その中でどのようなことに関心をもち行動をし、何を感じたのか、教えていただきたいです。そちらに興味がありますね。
良い仲間が欲しいと心から考える経営者ならば、採用を杓子定規に捉えず、きっと同じように思うのではないでしょうか。 
Sさんとの出会いですが、まずは履歴書のお写真が満面の笑顔で、それが好印象でした。履歴書用に撮られたものではないのかな?と思いましたが、私自身も笑顔を大切にしていますので、そこに自然体な魅力を感じましたね(笑)
学歴などもちろん素晴らしかったのですが、職務経歴書から、目の前の仕事にしっかり向き合って成果を出す粘り強さ、誠実で手を抜かない真摯な姿勢を感じました。退職後も何か社会に貢献できることを見つけて行動を起こし続けていることは大変魅力的でした。お話しする中で、当社の即戦力として相応しいかという点よりも、きっとSさんなら足りないスキルもこれから前向きに身につけてくれるだろうという期待や信用を持ちました。

 

——Sさんのお仕事のどのような点を評価されていますか?

 

——黒田様:まず、新しいチャレンジを楽しんでくれるところです。依頼したとき、一言目に「がんばってみます!」と元気に言ってくれるので、仕事を任せるにあたって安心します。
フルリモート勤務なのでこちらからも「無理していませんか?」と声をかけるようにはしているのですが、Sさんからもきちんと気持ちを伝えてくれるのです。そのため安心して一緒に働くことができています。
長くご一緒したいからこそ、ただタスクをお願いするだけでなく、その背景にある私自身の考えを伝え、ときには悩みや愚痴なども聞いてもらっていますが(笑)、Sさんも私に本音を話せるようになってくれていればいいなと願います。

また、先日新しい仕事をお願いしたところ、すぐに「この本を買いました!」と関連書籍で勉強を始めてくれたのを聞き、とても嬉しかったです。入社時からスキルがあるに越したことはないのですが、それよりも、未知の領域も自ら学び、会社と一緒に成長していけることが大事です。
そうした姿勢を見ると、今できないことでもきっとできるようになるはず、と感じます。

日々の業務も手を抜くことなく、しっかり対応してくれています。
なによりご自身が納得するアウトプットを出してくれています。プロ意識が高いですね。

 

 

黒田様、インタビューありがとうございました。

駐在帯同をブランクではなく「会社勤めではできない経験をした期間」と捉え、Sさんがこれまで身につけてきた仕事への取り組み方を理解してくださる黒田様との出会いは、Sさんの人生にとってきっと大きなギフトだったことでしょう。

「スキルがあるに越したことはないけれど、それよりも社会人として自ら学び、会社と一緒に成長していけることが大事」

という黒田様のメッセージにはとても励まされますね!

 

【企業紹介】
株式会社WOMAN COLLEGE(ウーマンカレッジ)
~「真の女性活躍をウーマンカレッジとともに」~
女性の採用強化、女性リーダーの育成など、法人向けに女性活躍推進支援を行っています。100社以上の支援、10年に渡る活動実績を活かして、2022年8月には社外取締役コミュニティを発足させるなど、女性リーダー自身が繋がり学べる機会の提供もスタート。
日本において女性活躍が当たり前になるようにサービスを広げています。

 

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文:CAREER MARKインターン5期 島貫さやか

インタビュー・文責:CAREER MARK 小橋友美

 

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