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駐在帯同の経験をどう活かす?「働き続けるために一歩ずつ」

もと駐在妻の再就職リアルストーリー Vol.1

パートナーの海外駐在によって仕事を辞めて日本を離れた女性たち。
「駐在妻」と呼ばれる彼女たちのなかには、帰国後にまた仕事に戻る方もたくさんいます。
そんな彼女たちは、駐在帯同期間をどう過ごしたのでしょうか。
駐在帯同をブランクにしなかったひとりひとりのストーリーです。

 

◆プロフィール◆※インタビュー時点
お名前:平野桃子さん
年齢:38歳

・2006年: 不動産会社(株)ザイマックスへ入社
(営業、コンサルティング、売買、プロパティマネジメント業務等)
・2015年: 第一子産休
・2017年:育休中に夫の海外転勤が決まり、復職せず退職
・2017年4月~2019年1月:駐在帯同/イギリス・ロンドン
・2017年11月~2018年9月:ロンドンの不動産会社Excel property services に勤務。住宅の賃貸管理業務、広告作成などを担当
・2019年:大手メーカー系列の不動産管理会社 入社
・2021年:(株)ザイマックス不動産投資顧問 入社(正社員・フルタイム)
現在、アセットマネジメント業務の担当として、国内外の投資家からオフィスビルやホテルなどの不動産資産の運用業務を受託し、日々マネジメントを行っている。

 

駐在帯同を通じて物事の見方が劇的に変わった


――駐在帯同先のイギリスではどんなことをしていましたか?

平野さん(以下省略):いろいろとやってみました。友達作りも英語学習も観光も。現地就労もしました。

 

【駐在帯同中にしたこと】
①近所の人と仲良くなること
・きっかけ:帯同初期は知り合いが全然いなくて孤独だったため。また異文化の友達がほしかったため
・感想:同じアパートのファミリー(英・米国人)と一生続きそうな仲になり、今とても嬉しく思っている。

 

②英語学習(現地の英語学校)
・きっかけ:英語がなかなか上達しなかったので、留学生のように修行してみようと思った
・感想:一人で色々な場所にでかけてみて(esolクラスや語学学校)、英語を「使う」訓練ができて上達したのでやって良かった。現地でしかできない経験だったと思う。

 

③英語学習(駐在妻向けの英語学校)
・きっかけ:駐在妻たちと仲良くなりたかった
・感想:先生とクラスの仲間に恵まれて、穏やかで癒しの時間を過ごせた。現地の生活において、やはり日本人の友人も大切だと思った。


④子供を現地のナーサリーに預ける
・きっかけ:子供が英語を習得していく様を見てみたかった
・感想:3歳半になると文章をしゃべったり、人の会話に口出しできるほど英語を話せている子供を見て感動した。(帰国後は英語を忘れてしまいましたが・・・)

 

⑤日本人コミュニティに顔を出す(Himemama)
・きっかけ:友達の紹介で。私のように色々悩んだ日本人に、自分の経験を伝えることで役に立てれば・・と思った
・感想:フィードバック頂くことがあまりないのでどれくらい人の役に立ってるかは分からないものの、たぶん誰かの役に立っているはず・・。少しでもお役に立てたらそれで十分です。

⑥現地就労(不動産会社でアルバイト)
・きっかけ:現地での生活でなかなか充実感を得られずモヤモヤ悩んでいた時に、まずは仕事してみようと思い立った(帯同前から興味はあった)
・感想:職場の仲間に恵まれ、充実した1年を過ごすことができた。人生の中でも大きな冒険に入るし、大切な思い出です。英語のレベルは十分ではなかったけど、あのとき勇気を出して面接に行ってみて良かった。


⑦ボランティアや就業に関する情報収集
・きっかけ:次は何しようかな?と思って常に情報収集していた
・感想:他の友人とも情報シェア出来てよかった

 

⑧国内観光(観光地やミュージカル・バレエ等)、周辺国旅行
・きっかけ:まさに、「今しかできない」こと
・感想:どこに行くのもリーズナブルで、楽しい時間を家族・友人と過ごすことができた。もっと行っておけばよかった。

 

――かなり積極的に活動されたのですね!!いろいろな経験をされて、駐在帯同期間にはどんなスキルが培われたと思いますか?

平野:まず語学力です。スピーキング、リスニングはそれなりにできるようになりました。渡航前は全然だったんですが・・・。
また、これまで日本でしか生活したことが無かったのですが、初めて違う国で生活して、固定概念が一気に崩れたし、物事の見方が格段に広くなりました。政治・経済・宗教・教育・環境問題など、日頃報道される時事問題に関して、他の国はどうしているのか、日本は世界の中でどのような位置付けなのかとか、俯瞰的に考えるようになりました。

鉄道の本場のYorkで鉄道博物館に行きました



子どもに合わせてステップアップしていく働き方

――再就職のときの様子を教えてください。

平野:帰国してすぐの再就職活動では「ワークライフバランスをキープしながら働く」ことを軸にしました。子どもが小さいのは今だけなので、せっかくの家族の時間を大切にしたいという気持ちがあったからです。
最初の会社に入社を決めたのは、以前の仕事を通じて社長と旧知の仲であり、すぐに役に立てそうと感じたこともありますが、会社が自宅からとても通いやすいこと、フレックス制度と在宅勤務制度が整っているうえ残業削減にも全社的に力を入れていて、未就学児2人いる私でもやっていけそうかなと思えたことも大きな要因です。

ロンドンでのアルバイトと、この会社での経験によって、在宅勤務やフレックス制度等を活用すれば子どもがいてもフルタイムで働けるなと自信と手ごたえを得ることができました。
そこで今度は身に付けた英語をちゃんと活かせる仕事をしたいという気持ちが強くなり、今の会社に転職したのです。

駐在帯同期間を経て、自分の人生で何が大切なのか、何を優先すべきなのか、よく考えるようになりました。 子どもが小さいうちは海外出張も残業も難しいけれど、それですべての仕事ができなくなるわけではありません。 子どもが大きくなるのに合わせて、少しずつステップアップしていくのも働き続けるひとつの方法だと思います。

 

――確かに、帰国して最初の会社がすべてではないですよね。子どもの成長に合わせてステップアップしていく働き方、とても参考になります。
平野さんは最初から仕事探しは順調でしたか?

平野:帰国して、仕事を探そうと思ってとある大手の人材エージェントに相談したのですが、時短勤務希望だったため、
「今の日本では時短勤務の募集はほぼない。募集要項にある時間(例えば9時~18時)で応募できるようになったら応募してみて、面接で時短にできないかどうか交渉してみてほしい。」
と言われました。
そのため他の転職サイトもいろいろチェックしました。
小さい会社やベンチャー企業も検討したり実際に面接を受けたりしたのですが、カルチャーが合うかどうか、また求めるスキルにぴったり合うかどうかが決め手のようで、その部分でなかなか折り合いませんでした。

イギリスの保育園。ユダヤ教のお祭りを学ぶ図工です。

現地就労は自分でアピールしてこそ活きる

――子どもが小さいと勤務時間がネックになりがちですよね。
そんな中で平野さんは面接で何をアピールされたのでしょうか。
ロンドンの不動産会社でのアルバイト経験は、日本で再就職する際に評価されましたか?

平野:ロンドンの不動産会社で短期間でも働いたことはプラス材料にはなったと思いますが、この経験だけで採用されたわけではないと思います。
渡航前の仕事での経験、具体的には日本の不動産業界の商習慣やビジネスの仕組みを理解し実務経験があることなども大きく評価されました。

 

――同じ不動産業界での経験なのに、現地就労はそれほど注目されなかったのですか?

平野:いくつかの企業の面接に行ったのですが、「仕事で英語が使える(就業経験があり、TOEIC800点以上)」というところは注目してもらえたようですが、それ以外の現地就労での細かい職務内容については殆ど質問されませんでした。
ロンドンの不動産会社で担当していたのはバックオフィスで、それまでの仕事(法人営業やコンサルといったフロント業務)や帰国してから希望する仕事と違ったからというのも理由だろうとは思います。

逆に言えば、自分から「これができる」と伝わるようにアピールしない限り、海外で働いていてもそれだけで評価されるということではないんだなと思いました。

実は、そのイギリスの不動産会社で初めてバックオフィス業務を経験したんですが、自分には向かないなって思いました(笑) 仕事はこなせるけど、全然ワクワクしなくて・・・。それに気づけたのは大きな収穫だったと思います。

 

――それでは、再就職できた理由は何だと思いますか?面接などでどういう点をアピールして、どう評価されたと感じていますか?

平野:まず、渡航前に一生懸命働いていたことが評価されたと思います。
帰国して最初に就職した会社の社長は渡航前の仕事でお付き合いがあったので、勤務態度・営業実績・良好な人間関係など、前職での働きぶりを信頼してもらえました。

また、今の会社では英語人材を募集していたので、その点にマッチしました。
ただ、他に検討した会社でも英語が話せると尚可、と要項に記載がありましたが英語面接はどこもありませんでした。そういうことを考えると、やはり共通の指標となるやTOEICやIELTSのスコアを取っておくと分かりやすいPR材料になるかと思います。

ちなみに、会社によって求める英語のレベルには多少の差があると思いますが、選考過程では詳細が分からないことも多いのではと思います。
入社後、専門用語の使用頻度、会話スピード、アクセントなど、想定外のことも多々あるかもしれませんが、基礎的な英語力があれば、その後の応用は効くと思います。私は3か月くらいでようやく慣れました。

あとは面接や履歴書でやる気と誠実さは伝わったのではと思っています。
特に中途採用だと面接に進めるのは大きいですね。実際に会って話をするなかでこちらから伝えられるものもあるし、私自身もHPではわからなかった企業の雰囲気などを知ることができました。 そうした形でいくつかの会社に面接に行き、お互い理解しあえたので今の会社に入社を決めました。

ロンドンの街並み

――最後に、再就職を考えている駐在妻・もと駐在妻のみなさんにメッセージをお願いします!

駐在生活お疲れさまです。 時間が許せば、あまり限定せずに色々な企業の面接を受けることをおすすめします。
私は帰国後、今2社目ですが、会社が変わると国が変わったようにカルチャーが違うものだなと実感しています。
駐在生活は環境を選べず従うしかありませんでしたが、帰国後の働く環境は自分で選べます。そして皆さんが日本を離れている間に、多様な働き方の導入がぐっと進んでいるかと思います(ワークフロムホーム、時短勤務、フレックス制、残業規制など)。
2019年4月に働き方改革関連法が施行されたこともあり、欧米諸国にならって今後も色々な変化が出てくるのではと思います。
ちなみに私が帰国して一番驚いた変化は、働き方改革関連法で月45時間超の残業が禁止されたことです。私が今勤めている会社も、法律にしたがって、残業が多くならないように部署単位で気を付けています。仕事で体を壊しては元も子もないですし、実用的な制度ができたなと感じています。
再就職活動、うまくいくことを祈っています。自分の直感を信じて、新たな冒険を楽しんでくださいね。応援しています!

――平野さん、どうもありがとうございました!

 

インタビュー・文:CAREER MARK キャリアコンサルタント 小橋友美

 

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