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メガバンク総合職から少人数企業への再就職「帯同経験が人生軸設計の期間に」

もと駐在妻の再就職リアルストーリー Vol.4 

パートナーの海外駐在によって仕事を辞めて日本を離れた女性たち。
「駐在妻」と呼ばれる彼女たちのなかには、帰国後にまた仕事に戻る方もたくさんいます。
今回は、駐在帯同を機に「自分にとって家族にとって”幸せ”とは?」という問いと向き合い新しい人生の軸を得た、ある女性のインタビューです。

 

◆プロフィール◆※インタビュー時点
お名前:Nさん
年齢:35歳

・2009年〜2016年:銀行(総合職)調査部門・営業部門
・2016年〜2019年:イギリス・ロンドンに駐在帯同
・2020年〜2021年:Web関連企業(業務委託契約・フルリモート) 事務※CAREER MARKの紹介
・2021年~:メーカー(契約社員) 事務・営業事務

 

メガバンク総合職を退職し、海外での子育て経験が教えてくれたこと

――駐在帯同前はメガバンクで総合職として働いていらっしゃったのですね。会社を辞めることに迷いはありませんでしたか?

 

Nさん(以下敬称略):とても迷いました。
ここまでやってきたのにどうしようかな、なんとか辞めないでいる方法はないかな、別居かな…とも考えました。
でも、自分にとって何が一番大事?と考えたとき、「家族で幸せに暮らすこと」だったんです。主人も同じ考えでしたので、帯同を決めました。

 

――帯同期間にしたことは?という質問に「子育て」を一番最初にあげてくださいましたね。

N:はい。子供が2~4歳でイヤイヤ期、そして初めての帯同というのは想像より大変でした。
もともとは、海外に行くからには「何か得るものがほしい」「意義のあるものにしたい」と思っていたので、子育ては帯同中にやりたいことにあえてノミネートしていなかったんです。「当然するもの」という別カテゴリーでした。
でも実際には子育ての比重がとても大きかったです。当たり前ですが、大人のリズムには合わせてくれないし、理屈が通じない。イヤイヤ期と重なったのでおむつ替えだけに20分ほど時間をとられることもありました。ずっと仕事をしてきたので、生産的な活動に置き換えてしまい「これが勉強の時間だったら」と自分で自分をがんじがらめにしてしまうこともありました。

 

――とても共感します。こういった意識が変わるきっかけが何かあったのですか?

N:一時帰国のタイミングで私の母が家族と接する姿を見た時、自分が相手に勝手に自分の理想を掲げて苛立ちを感じていたことに気づきました。子供にとってはオムツを変えるだけでも一大事。自分のマインドチェンジで、生産性のない時間ではなく「子供との時間をとれた!」という思考に変わっていきました。

 

――ハードに働いていたところからの退職・駐在帯同、そして子育てに専念。かなり葛藤があったのではないかと思うのですが、この時間はどんな経験になりましたか?

 

N:仕事では大変なことがあったとしても、計画や目標は立てやすく理屈は通じるので腑に落ちました。でも子育てはその枠をはるかに超えてきましたね。そのおかげで、バラエティ豊かな人の中でしなやかにやっていくという力が身についたと思います。
子育てに専念する期間は自分にとってプラスになったと思います。
もし帯同中に働きたくても働けないと悩む人がいたら、そんなに落ち込むことはないよ、と伝えたいですね。

ロンドンの公園で娘と遊んでいるところ
(見渡す限り芝生が続くこの環境で目一杯遊んだのは、貴重な経験でした〜)

子どもと向き合う時間を大切にしながらも今しかできない学びにチャレンジ

――そんな忙しい毎日の中、英語学習に積極的に取り組まれていらっしゃったのですね。

 

【現地で取り組んだ英語学習】
①日本人向けの英語学校に通学(約1年半)→現地英語学校通学(約3ヶ月)→家庭教師とのマンツーマンレッスン(約6ヶ月)
②ケンブリッジ英検受験
③英会話レッスンのサークル活動も実施(組織の立ち上げ・協力者(先生役)との連絡・連携など、仕切りを担当) 

 

N:渡英時は英語のザ・初心者だった事を考えれば、自分にとっては大きな進歩でした。
また、話・聞・喋・書の4技能を試される試験に挑戦する事は勇気がいりましたが(特にスピーキング)、逃げずに挑戦・恥ずかしさや悔しさも体感しながら自分の力量を知れた事は、励みにも次へのモチベーションにも繋がりました。

自分と向き合い「言語化」する時間が持てる帯同期間の価値。自分軸を持ちながら再就職活動に臨む

――異国の地での子育て経験も、ご自身の学びの時間も目標設定をしながら自分と向き合いながら過ごされていたNさん。
本帰国後再就職しようと思ったのはどんな理由からですか?

 

N:本帰国後は環境が許せば働こうと思っていました。そのため帰国はもうすぐだなという時に保育園施設・転職サイトをチェックしていたのですが、相場観(今、どんな募集があるのか等)を知れたのはとても良かったです。

 

――再就職の際に準備していてよかったことはありますか?

 

N:子どもと一緒にいながらの転職活動だったので、限られた時間のなかで職務経歴書などの書類の準備は大変でした。
私はCAREER MARKのサービスを利用して職務経歴書を作成したのですが、この作業を手伝っていただけたのはとても良かったです。

 

――職務経歴書を書いていて大変だったところはありますか?

 

N:前職の銀行について話そうと思ったときに、同業者でない方にむけて伝えるのは難しかったです。100%お伝えするのは難しいけど、平易な言葉で表現したり、数値化するなどの工夫をしました。
もともと簡単な日記のような感じで自己分析するノートを記録する習慣があったのでそこでの言語化や過去の実績数字などが役に立ちました。

ただ、正確な数字がもうわからなくなっているとしても、自分がやってきたことが伝わって面接官の理解を助ける呼び水になるように数字を使うという意識でいいと思います。これから再就職活動をする方には、正確な数字がわからなくても諦めないでくださいと伝えたいですね。

よく遊びに行っていた児童公園の花壇
(毎日リスが顔を出してくれて可愛かったです)

――現在の勤務先で活かされている帯同中の経験やスキルはどんなものがありますか?

 

N:まずはコミュニケーション能力・組織力です。この点は再就職活動の際もPRしました。
前職の銀行にいたときにもこうした能力はもちろん磨いてきたと思います。それが駐在帯同の期間を通じてさらに強化されました。
働いていた銀行ではきちんとルールブックがあって、迷う時にはそれを確認することができたのですが、海外生活では日本とは文化が違ってルールも違う。だから聞いてみて、自分の意見を伝えてみて、ということが大事だということを学んだんです。

「聞いてみないとわからない。言ってみないとわからない。だからまずは確認してみよう!」というメンタルを身につけました。

今の会社は、中途採用も多く老若男女問わずいろいろなバックグラウンドの方がいるし、考え方も様々。その方々と円滑に業務を進めていくにあたり、帯同期間中に文化の異なる異国の方と付き合ってきた経験は生きていると思います。

 

もうひとつは「あるべき論で考えない」です。
イギリスって家の設備がとにかく壊れるんです。
しかも修理の業者さんも何の準備もせずやって来て、
「Oh!壊れてるね、ほんとキミかわいそうだって僕も思うよ!」
とか言って何もせず帰っていくんですよ!しかも次のアポもまた時間がかかったりして…。

でもまあイギリスだから仕方ないかって笑って許せるようになっていきました。もうそういうものだと。

駐在帯同を通じて子どもにも同じ気持ちになっていきましたし、子どもだから着替え遅いよね、食べ物こぼすよね、仕方ないよね、って思えるようになりました。アンガーマネジメントのようなものかもしれませんね。

今は仕事で「ああ、私ならこうするのに…。」っていうことがあっても、怒ったり諦めたりしないで
「私ならこう考えますが、どうですか?」
と話し合う場を設けたりしています。

文句を言うのではなく、いろんなバックグラウンドの人がいるんだから、相手の考えを聞いてみよう、自分が求められる動きも含めてまず確認してみよう、というコミュニケーションをとれるようになりました。

転職活動をするときって、どうしてもテクニカルスキル(専門知識や、営業スキル・プログラミングスキルなど業務に直結するスキル)に注目してしまうと思うんです。
私もそうでしたが、でも、いざ本帰国後に働こうと思ったときに自分が誇れるスキルってなんだろうと考えたとき、こうしたテクニカルスキルだけじゃなく、コミュニケーション能力や交渉力などのヒューマンスキルと呼ばれるものや、多面的に物を見られることやチャレンジ精神など課題解決につなげられる力が身についていると気づいたんです。

こうしたスキルは帯同前の仕事でも育てていて、さらに帯同先で違う文化にさらされたことで磨かれて、だんだんブラッシュアップされてきたものだと思います。

どの方にも、仕事だけじゃなく帯同期間を通じて育ててきた素晴らしいスキルがあると思うので、そこにも目を向けるといいのではないかなと思います。

ロンドンの自宅近辺
(毎日通っていた道です。懐かしい!)

新たな職種・企業規模へのチャレンジとなった現在の仕事

――メガバンク勤務から社員数人の会社でフルリモートワーク勤務、さらに現在のメーカーでの契約社員としての勤務。働く環境が大きく変化していますが、どう感じていますか?

 

N:とても良かったです。
確かに社員数万人という組織と数人の組織ではルールや文化は違いますが、それは当然だと思いますし、そうした違いに触れられたことも見識を広めるという意味で良い経験でした。

以前の会社で評価されたことも外に出てみたらそうでもない、ということに辞めてみて気づきました。
また、CAREER MARKの紹介で完全リモートという働き方に挑戦できたことも良かったですね。子供中心の生活の中で仕事ができることは自分のニーズにマッチしていました。
職務内容はこれまでの経験(営業・事務)がとても役に立っていますし、トータルとして大満足です。

 

――今はご家族との時間もとても大切にされていますね。
お子様の成長に合わせてステップアップする働き方をもともとイメージされていましたか?

 

N:もとから計画していたわけではありません。そのときどきでご縁があって、という感じです。

帯同前に働いていた時は、こんな働き方があるとも思っていませんでした。子どもに合わせた生活をしたいな…と思いながら、職場で自分に求められているものもあるし、自分としても達成したい、負けたくないこともある、だからいつも全力投球で仕事しなければ、という気持ちでいました。

だからあのまま帯同前の仕事を続けていたら、遅くまで保育園に預けて、ギリギリでお迎えに行って、なんとか、なんとかこなす、そういう毎日になっていたと思います。

それで100%満足していたかと言うと…、仕事の目標達成のために子どもへの気持ちに少し目をつぶりながらやっていく、そういう、自分をだましだまし…みたいなことを続けていたかもしれないなって思います。

 

――正社員として仕事を頑張っているからこそ、他の働き方を選ぶというのはなかなか難しいことなのではないでしょうか。

 

N:そうですね、帯同前に働いていたときには、正社員以外の働き方を選ぶことは「自分に負けた」「走り続けるのをやめた」ということだって勝手に思っちゃってたかもしれないですね。

子育てにはすごく価値があるってわかってたんですけど、でもある程度子育てを犠牲にしないと仕事で求められるレベルに達しないからそうせざるを得ないっていう部分もありました。

もちろん仕事も家庭も、どちらもうまくできる人もいると思います。でも自分としては現実的にそうなっていましたね。

以前のような働き方を続けていたら、なかなか今の働き方に舵は切れなかったと思います。
今は契約社員として10時~16時の勤務ですが、こうやって細く長く働き続けられるんだっていうことは、駐在帯同によって一度仕事が途切れたことによって気づけたことです。

 

――今後はどんな働き方をしたいですか?

 

N:今は営業事務としてとても楽しく仕事しています。また、まだ子どもが小さいのである程度子どもとしっかり遊べる時間をとりたいと思っています。
17時には家に帰って、ちょっと子どもと遊んで宿題を見て、それからみんなで夕食を囲む、しかも自分もしっかり仕事をしている、というこの生活にとても満たされています。

今後は子どもの成長に合わせて、まずは勤務時間を延ばすこと、そしてゆくゆくは正社員へチャレンジしたいと思っています。

 

――正社員登用制度があるのですね。

 

N:はい。仕事探しの際、正社員へ移行できるという点も会社選びのポイントとなっていました。とても雰囲気のいい会社なので、このまま働き続けられたらと思っています。

 

――先を見据えた人生設計をされる中でのお仕事の選択。とても大きな気づきを与えていただきました。

最後に、これから再就職を控える駐在妻・もと駐在妻へのアドバイス、メッセージをお願いします。

N:駐在帯同生活お疲れ様です。
ここ数年、働き方のレパートリーはより幅広くなったと思います。私は今時短の契約社員ですが、子供の成長に合わせて今後も柔軟に働き方を決めていくつもりです。自分の人生にとって何が大切なのか自問自答し、優先順位を決めながら、最後は自分の直感を信じて自信を持って選択していっていただけたらと思います。陰ながら応援しています。


―Nさん、どうもありがとうございました!

 

インタビュー:CAREER MARK キャリアコンサルタント 小橋友美

文:CAREER MARK インターン 吉井聡子

 

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